30 どうやら、義兄はドMみたいです(義妹の推察)
某所―
「リナックス、今回のような勝手な真似は、今後は許さん!」
「言われなくても、暫くはイレギュラーには手を出さないさ。今のアイツでは愉しめないからな。今度はもっと、アイツが経験を積んでからだな」
「まあ、結果論ではあるがイレギュラーが、まだまだ能力を使いこなせていないのが、わかった事が唯一の成果だな」
「暫くは、放おって置いても問題ないだろう」
こうして、和真は敵の油断か他の考えから、強くなるための時間を与えられることになった。
その頃、その和真はそのリナックス戦での自分の未熟さを痛感して、学校の訓練が終わった後に咲耶に頼み込んで、近接戦闘に付き合って貰い励んでいた。
「私と
その訓練の場は和真の家の庭なので、家の中から真菜はヤンデレ目でその光景を見ており、訓練の邪魔をせずに後でという所が、真菜が基本いい子である事がわかる。
咲耶は和真と数度打ち合うと中段に構えて態と構えた木刀を左に向け開くと、自身の右篭手に隙を作り和真の攻撃を誘う。
「そこだ!」
「はっ!」
和真は、まんまとその態と空いた篭手に木刀を素早く打ち込むが、来ると待ち構えていた咲耶はその打ち込みにあわせて、左に縦に0を描くように腕を動かすと彼の右の篭手に木刀を命中させる。
「くっ!」
右腕を打ち据えられた和真は、痛みで木刀を地面に落としてしまう。
「
一部始終を見守って(監視)いた真菜は、家の中から義兄の側に駆け寄るとマナを操作して、<治癒スキル>を和真の右腕に使用する。
「和真… 熱心に訓練しているところ何だけど… 対人技を磨く必要はないんじゃないの?」
咲耶の言う通り、討伐者の第一の敵はアグレッサーであり、対アグレッサーは当然対人とは若干勝手が違う。
そのため、リナックスの事を記憶から抹消されている咲耶が、対アグレッサー用の剣技を磨くべきであると助言するのは、間違ってはいない。
「そうです! アグレッサー用の技を訓練するべきです!」
義妹は咲耶と一緒に居て欲しくないという理由だけで、茶髪お姉ちゃんの助言を後押しする。
「いや、俺は対人用の剣技をもう少し磨きたいんだ」
「まあ、今日の訓練はここまでにしましょう」
「咲耶、今日もあり― 」
咲耶は「礼なんていいわよ」と意味を込めた右手をあげて、和真の感謝の言葉を遮ると彼も「ありがとう」と意味を込めた笑顔で返す。
咲耶は上げた右手をそのまま横に振って、別れの挨拶をすると自分の家に帰っていった。
その幼馴染の以心伝心ぶりを間近で見た真菜は、嫉妬でほっぺたを膨らませて不機嫌をアピールするが、その行為に自分の幼さを感じて更に気分が下がってしまう。
風呂から出て後は就寝するだけの和真が、眠るまで居間でテレビを見ていると、一緒にテレビを見ていた真菜が少し言い難そうにこのような事を話し始める。
「
「ああ、そうだな。ありがとうな、真菜」
「
咲耶は見返りを求めていないのに、自分は見返りを求める。
見返りを求める事に自分でも幼いとわかっているが、色々と口実を作って
「私は
「お金ならないぞ。お前に買った途端に捨てられるエロ本の購入費が、馬鹿にならないからな!」
「買わないという選択肢はないんですか!?」
「無い!!」
年頃男子の和真は即答する。
「
「何が変態だ! 年頃の男がエロ本を持っていることは普通だ!」
和真は義理とは言え、確かに妹に何を言っているんだと疑問に思いながら、ここで引けばこの義妹にエロ本を全て処分する口実を与えそうなので、熱を帯びた反論をすることにした。
「そもそも、
「結構です」
今回も和真は即答する。
※即答した理由は、今まで散々語ってきたので割愛させていただきます
「どうしてですか! 可愛い
「それは俺が痛いのが大好きなドMではないからだ!」
※先程割愛すると記述しましたが、僅か2~3行後に理由を書いてしまった事をここに謝罪致します。
真菜は、自分の今までの自分のヤンデレお仕置き発言を忘れているのか、「何を言っているんですか?」という表情で義兄のことを見ている。
そこで、義兄は義妹を納得させるためにもう何度質問したか解らない、このおなじみの質問を彼女におこなう。
「では、聞くが
すると、ヤンデレ義妹からもいつもの同じような恐ろしい答えが返ってくる。
「はぁ!? そんな裏切り行為許すわけがないじゃないですか? お仕置きとして、
「今回はお仕置き内容がちょっと緩いな」
和真はいままでの内容で麻痺している。
「そして、所持しているエロ動画の時間だけ、水を入れたドラム缶に
「おまえ、それもうお仕置きじゃなくて、拷問じゃないか!!」
「何なんですか!?
「痛くないかもしれないが、苦しいじゃないか!」
和真の投げた抗議のボールを、ヤンデレは受け取らずに場外ホームランでかっ飛ばすと、ポケットから自分のヤンデレボールを取り出して、義兄にぶつけてくる。
「もう! 何ですか、痛いほうがよかったんですか!? やっぱり、ドMだったんですか!? 私に足で踏まれたいんですか!? この欲しがりのドM
そう言うと、義妹はソファーに座る義兄の太腿を、そのスラリとした綺麗な白い足で踏んできて、彼は新しい扉を開きそうになる。
「Mじゃないって、言っているだろうがー!」
だが、何とか閉めると義妹の足を払い除け部屋に逃げ込んだ。
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