第21話 化物(?)退治②

「私の妻は元気ですが、何処からそんな話を聞いたのですか?」




「母上が言っておりました。奥様が亡くなったらランバート様を慰めてあげなさいと!」



ランバート先生は穏やかな口調だが目は笑っていない。だがそんな空気も読めないブリトニーは頬を染めながらペラペラと話し出す。




「そうですか。でも妻は元気ですしお帰りになって大丈夫ですよ?」




「本当ですか?無理していません?最近エチカ夫人を社交の場でお見かけしませんし…その…お子さまの事もありましたでしょう?」




「……その件は解決しましたのでご心配なく。妻は具合が悪かったのは事実だがもう回復したので何の心配もない」




しつこいブリトニーに口調が荒くなっていくランバート先生。




「私はランバート様の愛人でもいいです!お慕いしています!」




「あらあら~ブリトニー令嬢じゃない?」




そこにエチカさんが現れると、驚くブリトニー。だがすぐに挑戦的な目でエチカさんを睨み付ける。




「これはエチカ夫人、具合は良くなられたのですか?」




「ええ、お陰様で。そちらこそ随分フケましたわね。」




「なっ!失礼じゃございません?」




「旦那様の愛人とか馬鹿げた話が聞こえてしまって驚きましたわ!身の程も分からないなんて!」




「失礼ね!私が子供を産んだら誘拐されて殺される事がないようにずっと一緒にいるわ!あなたの子供は可哀想ね!」




その言葉にその場の空気が一変する。ランバート先生とエチカさんの怒りもあるがそれ以上に怒り狂う人がいた。




「先程から聞いててとても不愉快ね、あなた」




「な…なんなのよ平民の分際で失礼ね!」




「黙りなさい!!」空気が凍りつく。




「エチカへの侮辱、私が許さないわ!!」




キルア院長先生の威圧感が凄まじい。普段は温厚で優しいので余計だ。ブリトニーは院長先生の気迫にやられて腰を抜かす。聞いていた先生達は何故か跪く。ランバート先生も同じく跪く。




「あなた…何者なの!」




「お前の様な小娘に話す必要はない!トイス伯爵家だったな!わたくしが自ら沙汰を下す!いいかぁぁ!」




キルア院長の鬼気迫る怒号にやられたブリトニーは気を失う。そのブリトニーを先生達が引きずるようにして連れていく。エチカさんはキルア院長と話している。院長は先程の事が嘘のように穏やかに笑っている




ルルは知っていたが、アンリは知らなかったので唖然としている。チロは倒れているブリトニーを見て、エチカさんが倒したと思い嬉しそうに

エチカさん達の元へ駆けてゆく。




「かーしゃんしゅごかった!いっぱいおこってたおちたの?わぁーっていってた!」




耳を塞ぐの忘れてた、あと2本手が足りなかった!でもあの2人声は似ているんだな。エチカさんは苦笑いでチロを抱っこする。院長はニコニコしている。ランバート先生は溜め息を吐きチロを撫でている。




「院長ってさ……」




「アンリあのね!」




「裏社会のボスかなんか?」




「……まぁそのようなもんかな」




院長先生は私に気付くと嬉しそうに手を振ってくる。私は苦笑いしながら手を振り替えした。






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