第13話 さぁ、帰ろう!

私達はランバート先生達に見送られて馬車に乗った。ランバート先生も勉強会にはこれまで通り先生として通うそうだ。チロは窓を開けて一生懸命手を振っている。



「とーしゃん!またねー!」



ランバート先生はとーしゃんと呼ばれたのが嬉しくて、泣きながら手を振り返している。エチカさんも涙ぐみながらその光景を見ている。



私はというとチロが落ちないようにズボンを持っている。



「チロ、危ないからもう座りな?」



「あい!ねーね!」ちょこんと座るチロ



エチカさんはチロに色々話しかけている。私はふとジョンさんを見ると頭を撫でられる。なんとなく照れくさくて無視して窓の外を見ていると孤児院が見えてきた。



「ねーね!みえてきたよー!」興奮気味のチロ。



「あれがチロのお家ね?」



「しょーだよ!」



馬車が孤児院の前で止まると、子供達が集まってきた。もうすぐ夕飯の時間だから皆が揃っていた。院長のキルアとジョンさんが話している。私とチロはアンリ達と話している。



「お帰りー!無事帰ってきたね!」



「まぁ何とかね…」



「それはそうとあの美人さん誰?」



アンリ達の視線の先には、エチカさんがちび達に囲まれていた。



「あにゃただーれ?」「誰ですかー」「女の人だよー」



「うふふ可愛いわね!」微笑むエチカさん。



「おばさん誰ー?」「わかんない、ルル姉の知り合い?」



「…今おばさんって言ったの誰ー?」目が笑ってないエチカさん。



「言ってにゃいよー」「きれいなちと!」「きえいねー」



「まぁ!」そう言ってちび達の頭を撫でていくエチカさん。



「おばさんこわっ!」「しっ!」



「いるな?おばさんって言ってるヤツいるな?お前だな!」



「ヤベェ!」ルル位の男の子が逃げようとする。



「私から逃げられる者はいないわよ!」



そう言うと簡単に回り込むエチカさん。男の子は悔しそうに叫ぶ。



「くそー!ちび達攻撃開始だ!」



だがちび達は動かない。手には皆お菓子の袋を持っている。



「ちび達を買収するとは!大人が卑怯だぞ!」



「チロ!」ルルがチロを呼ぶ。



「あい!いくしゃにひきょーもくしょもない!」



「「「「くしょもにゃい!」」」」ちび達も言う。



エチカさんはルルからあるものを受け取る。それを見た男の子は顔面蒼白になる。



「そ…それは!ごめんなさい!許して下さい!」



「もう遅いわ!私を怒らせたのよ!」



そしてエチカさんはそれを思いっきり使った。



ピーーーーーーー!ピーーーーーーー!



男の子の元へちび達が突進してくる。そしてちび達に埋もれ消えていった…。



「生きてるよ!」男の子が顔だけ出した。



「中々の場所ね!教育しがいがあるわ!」にやっと笑うエチカさん。



それを見ていた院長は快く許可を出し、ジョンさんは男の子に合掌している。



「だから生きてるよ!」男の子が反論する。



これから楽しくなりそうだな。そう思うルルだった。






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