第11話 ジョンさんの正体
「いやいやそれは…」驚くルル
「チロも喜ぶだろうし、ルルちゃんは可愛いから私は大歓迎よ!」
「駄目だ」真剣な目をしたジョンさん
「あらどうして?」エチカさんも引かない。
「ルルは俺が引き取るつもりだ!」
「はぁ?」更に驚くルル
「何故兄上が引き取るんです?」
「分かっていて聞いてるよな?」
何故か一触即発状態のジョンさんとエチカさん。ん?今兄上って言ったような気がするが?
「ケンカはだめでしゅよ!」
チロが2人に割って入る。チロはエチカさんから貰った木の剣を構え、まずはジョンさんを斬る。
「ぐっ!お前本気で叩くな!」
チロはいつもジョンさんにだけは遠慮がない。私の教育の賜物である。次にエチカさんに斬りかかる。
「ぐあぁー!」苦しみ倒れるエチカさん。演技上手すぎだろ!
「ちゅまらにゅものをきってちまった!」自分に酔うチロ。
皆が私をみるが知らんぷりする。ジョンさんが起き上がると私の元に来る。
「ルル、お前はどうしたいんだ?俺はお前を引き取りたいと思っている。だが今は無理なんだ…もう少し待っていてくれないか?」
「私は…分からないよ!チロとも離れたくないし!ジョンさんの事も大事だよ?でも分からない…」
そんな私をジョンさんが優しく抱きしめる。
「ねーね?」チロが不安そうに私を見ている。
私はチロに問いかける。
「チロ、今日からここで暮らすんだよ?ここにはチロのお父さんとお母さんが住んでるの。チロも今日から2人と暮らすの。」
チロが2人を見るが一瞬黙りそして激しく泣き出した。
「いやーーー!ねーねがいいーーー!うわーーん!」
私に必死にしがみつき泣きじゃくるチロを見て胸が痛くなる。そんな光景を黙って見ていたエチカさんが徐に立ち上がると部屋を出ていってしまう。
「エチカさん、ショックだったのかな…」
ジョンさんとランバート先生は何故か頭を抱えている。
「ランバート、大変になるかもしれないがこれもチロの為だ!」
「はい、分かってはいるんですけど…私もチロと一緒にいたいです。」
何の話をしているんだ?ルルがチロを慰めていると、部屋のドアが勢い良く開くとエチカさんが荷物を持ち簡易服で現れた。
「ランバート!言わなくても分かるわね?」
「行くんですね?」
「チロの為よ!それに面白そうだしね!」
私とチロがキョトンとしていると、エチカさんがこちらにやってくる。
「私も孤児院に行くわ!」
「はぁ?」
「孤児院で子供達の世話をしながらチロになれてもらいたくて…私も孤児院に行くわ!」
「いや、2回言われても…」
「エチカはこうなったら言うことを聞かない、諦めろ。院長には俺が話しておく。」
エチカさんは私を見ている。
「私も孤児院に…「分かりました!」ありがとう!」
エチカさんはチロの元へ行くと嬉しそうに報告する。
「チロ!私も孤児院で暮らすからよろしくね!」
「かーしゃんも?」
「そうよ!いっぱい遊びましょうね!」
「兵士ごっこも?」
「そうよ!剣も教えてあげるわ!」
「やったーー!」
私達は苦笑いするしかなかった。
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