17
「で……か……かな……奏!そろそろ起きなさい」
「うーん?今何時?」
眠たい目を擦りながら母に尋ねる。
「もう7時よ……お昼も食べないで、また朝まで曲作ってたのね」
「7時!?」
私は慌てて携帯を開く。そこには19:15と表示されていた。
「うそっ!!もうこんな時間なの!?完全にアラームセットし忘れた」
母は「夕飯できてるから」といって部屋を出ていった。
そう言えばお母さんいつ帰ってきてたんだろう?
夕飯を食べ終え自室に戻ると、早速机に向かう。
春夏秋冬のそれぞれの歌詞でよく使われるフレーズをまとめるとして……。
やっぱり春曲からまとめていこうかな。
冬曲まで一通り書き出してみる。季節のイベント毎である、卒業・クリスマス・バレンタインなど直接的に入れ込んでくる歌詞もあれば、季節の花である桜・紫陽花・向日葵などを入れ込んできたりと意外と表現の幅が広い。
また、卒業だからといって悲しいだけじゃないし、結局は人それぞれの感性かぁ……。
私はそれぞれの季節に何を伝えたいだろうか。
私は高校生だけど他の高校生の青春の形は少し違う気がするんだよね。
学校の行事に対する熱もないし、部活も入部してないし、恋愛のかけらだってない。
なんで学生ってキラキラしてるように見えるのだろうか。
うーん。
やっぱり大会とかもそうだし、高校を卒業するとより道の方向が違うもんね。
だったら私は春夏秋冬に夢と青春を盛り込みたいかなぁ。
うん。ちょっと背伸びをして恋愛曲を作るよりも、気持ちを乗せやすい曲の方が共感も得られるかもだし、世界中を探してみたら私みたいな考えの人もいるだろうな。
よしっ。やっぱりそうしよう。
曲のテーマを決めた私は、あとは季節毎にどういう曲調にしていくのか、季節毎で違いはあるのかなどを考えていくことにする。
春なら新入生とか入ってくるし“ドキドキ”とか高校3年生にとっては最後の試合になるから“本気”とか”絶対諦めない”とかかな。
夏は予選大会で勝利してれば“最後の戦い”・“最後の夏”・“力を出し切る”とか、もし負けてしまったら“悔しい”・“後悔”とかかな。
秋は1年生と2年生なら次があるから“前進”・“次なる目標”・“先輩との別れ”とかかな。
冬は……。冬ってなんだろう冬に別途試合とかあったりするけど。それだとまた流れ変わっちゃうからなぁ……。うーん例えば高校3年生なら部活終わって“プロ”に進む人、大学に行く人、就職する人に別れる人で変わってくるし、1•2年生で次の年に向けて猛練習する人もいるだろうな。本気の人だったら私みたいに恋愛イベントとは無縁の人も多いかもなぁ。毎年クリスマスとかバレンタインデー前後はソワソワした人多いイメージあるし。
恋愛は難しいけど、ドキドキの感じならイメージ掴めるかも。片想いの相手に対して頑張ってる人も青春だもんね。
取り敢えずなんとなく方向性が決まったから、あとはメロディと歌詞を詰めていかなきゃな。
7/20から投稿が可能になるから、できるだけ早めに投稿しちゃいないな。
それからというもの授業中はほぼ睡眠をとり夜中まで曲作りをしていた。
先生や親からは何度も怒られたが、そんなの関係ない。
怒られてからって止められるほどの熱でやってない。私は本気なの。
このコンテストで何かしらの結果を残せることができれば、私は高校3年に上がってもずっと音楽にのめり込むことができるし。
だから譲れない。ここが私のスタートの時。
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