第26話

高1の夏って言えばなんだろう?

皆は何を思い浮かべる?

海で海水浴?

山でキャンプもいいね!

川も捨てがたいよね?

BBQだってしたいし、旅行に行ったっていい

なんたって夏休みだもんね?

遊ぶ事ばっかり考えちゃうよね


でも違う

まずは期末試験だろ


この学校、幸か不幸か中間試験というものが存在しない

学力試験は1年の間に3回

つまり学期末のみなのだ

それ故に、そこで赤点など取ろう者には補習地獄が待っているらしい


と言っても元々県内トップクラスの高校に受かった俺にとって、たった3科目の勉強は朝飯前だった


そう、俺にとっては…


黒川「あべちゃん助けてくれぇ!!」


杉山「正晴頼む!後生じゃ!!」


期末試験まであと1週間を切った今日、朝飯前ではない男子生徒2人が俺の前で土下座していた


「はぁ…今まで何やっとったんじゃい」


黒川「試験の存在忘れてた…」


杉山「右に同じく…」


まぁ、大体こういう奴ってクラスに何人かいるよな

むしろ1週間前にやろうとするだけでも良い方だと思う


「で?何が分からんの?」


黒川「全部…」


「は?」


衝撃的な言葉に少しイラッとした


黒川「全部…です」


聞き間違えでは無かったようだ


「はぁ?聞こえんなぁ?大きい声で言えや」


黒川「だから…全部分かりません!!!」


「うるせぇ!!誰が胸張って言ってんだよ!」


杉山「正晴、理不尽過ぎる…」


「あ゙あ゙?」


杉山「ヒッ」


「杉山はどうなんじゃ?」


杉山「お、俺は…英語が…」


「ほぉーん。で?俺にどぉせぇと?」


杉&黒「勉強教えて下さいっ!!」


黒川は流石に勉強を舐めすぎてやがる

3科目だけとはいえ1週間程度で覚えられる量はたかが知れてる

普通なら自分の勉強に集中する為に無視だ


ただ2人には初日に声を掛けて友達になってくれたっていう恩がある

仕方ないから教えてやるか…


「今回だけやぞ」


黒川「神ぃ〜」


「調子のんな!!」


全力で黒川の頭にチョップを叩き込んだ


誰かの部屋でやろうかという提案をしてきたが、絶対遊んでしまうと思ったので却下

放課後の特訓を1週間だけ休んでその時間教室で勉強する事にした


「〜て事なんよ。すまんけど1週間特訓はなしで頼む」


その旨を藤原に伝えた


藤原「私もやるわ」


「へ?」


そんな返答が来るとは思ってなかった


藤原「いや、だから私もやるわ!その勉強会」


「なんで?」


このなんで?は藤原が嫌とかそういう訳ではなく、藤原は普通に勉強出来る奴だからわざわざ俺らとやる意味あるの?のなんで?だ


藤原「と…ともだちと…べ…べんきょ…」


「何て?」


藤原「友達と勉強会するのが憧れだったのよ!!」


くぅ…こいつっ!!

まさか俺と同じくボッチだったのか…

ここまで言わせて拒む理由はねぇ!


「それなら早く言えよな!やろうぜ!勉強会」


こうして結局いつもの特訓のメンバーで勉強会をする事になった



――その日の放課後



黒川「だああぁぁぁぁもぉ無理」


「無理って言うな!まだ30分しか経ってないだろ」


黒川が勉強が出来ない理由はこれだった

集中力がない

地頭は悪くない、その証拠に数学は多分大丈夫そう

公式を覚えて使うだけだから

国語と英語は関連付けて勉強しないといけないのに30分が限界ってなると、正直かなり厳しい…


杉山「無理分かんねぇ…」


藤原「だーかーらー!!何で分かんないのよ!!」


杉山は英語だけなので藤原に教えるのをお願いしたんだけど…


杉山「大体日本人なんだから英語なんて覚える必要ないだろ!!俺には無理だー」


藤原「つべこべ言ってないでやれー!!」


どうやらこっちも厳しそうだ

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