第24話

やっと3人を見付けた


黒川は地面に転がっており

藤原と阿部は寄り添うように倒れていた

その近くの壁にはぶつかった跡があった

吹き飛ばされたのだろう


3人の周りには沢山の青鬼の死体が転がっていた

周りには生きている青鬼はいない


かなり頑張ったのだろう

褒めてやりたい

抱き締めてやりたい

もう大丈夫だぞと言ってやりたい


だがそれはもう叶わない


これだけ頑張ったのにこの3人は若くして命を落とした

私のせいだ


せめてもの救いは死体が残っている事だろう

ちゃんと埋葬してやれる…それだけでも良かったと言えるかもしれない


黒川の元へと近付く


顔色はかなり良い

まるで生きているかのようだ

もしかするとやられたのはついさっきの事なのかもしれない


そう考えると悔しさが込み上げてくる…


担任「すまなかった…」


謝って許される訳では無いが自然と口から出た言葉

私は黒川を抱き上げた


スー…

スー…

スー…


!?


慌てて心臓の音を聞く


ドックン…

ドックン…

ドックン…


はああああぁぁぁぁ!?

と叫びそうになった


黒川を放り投げ、藤原と阿部の元へと駆け寄る

2人も生きていた


落ち着く為に深呼吸をした

私は自分の生徒が死んだと思ってかなり動揺していたのだろう

落ち着くとある事に気が付く


3人には結界が張られている

見ただけでは発動条件が分からないしかなり強力な結界

このレベルの結界を張れる陰陽師が何人いるのだろうか?

下手したら隼人でも無理だろう

と…考えていたら結界が消えた


それに周囲の青鬼の死体

よく見ると2割くらいは藤原の双剣に斬られた跡があるが、残りの8割は全て頭が吹き飛んでいた

しかも全て、全く同じ様にだ

まるで小型爆弾を頭に埋め込んで爆発させたような…

そんな陰陽術や霊装があるのか?

少なくとも私は知らない…


誰かがこの3人を助けて結界を張っていったとしか考えられない状況

そんな凄い陰陽師はこの学校にはいない


隼人もあと1時間後くらいには戻って来るはずだから違う

しかも助けるだけ助けていなくなるってどういう事だ?

それにそれだけ強力な陰陽術を使ったのに何の反応もなかった

考えれば考える程分からなくなってくる


でも、取り敢えず3人が無事で本当に良かった…



ん…?

何か柔らかい物を抱き締めてる気がする

抱き枕かと言われると違う(使った事ないけど)

なんだ暖かいのだ

そう。まるで人間のように


でも俺は死んだ?…よな?

て事はここは天国?

天使でも抱き締めて居るんだろうか?

なら羽があるのかな?

俺は背中があるであろう場所を弄る


…ない

肩甲骨っぽいのはあった気がする


仕方ないもうちょっと楽しみたいが目を開けてみようか…


ゆっくり目を開けるとそこには…


藤原「私の背中そんなに好きだった?もう満足??」


目の前には鬼がいた


「あれ?俺達死んでないの?」


藤原「そうね。でも折角生き残ったけどアンタは死ぬわよ?」


「Oh…」


どの道俺は死ぬらしい

父さん…母さん…ごめん!

俺、死ぬみたいだ…


バッチィーン


俺の左頬に青鬼並の張り手が炸裂した


何故か近くにいた担任に聞くと、黒川も無事だったらしい

青鬼の襲撃は校庭だけでなく校内全体に起こったらしく、「陰陽高校岡山支部襲撃事件」と名付けられた

教室でもクラスの皆が襲われたと聞いた時は取り乱してしまったが、担任がなんとか駆け付け皆無事だったと聞いて安心した


2、3年や先生の方には赤鬼も現れたらしくかなり苦戦したと聞いた

出張の途中で駆け付けた校長が一掃したので怪我人は何人か出たけど死人は0でいなかった

山本先輩や細見先輩が無事で良かった…

鬼龍院は少し痛い目を見ていて欲しい


出張って途中でやめれるものなんだろうか…

というかそれだけの数の赤鬼、青鬼を一掃ってどんだけ強いんだよ校長!


正確な数は分からないけど今回の襲撃は青鬼が1000体、赤鬼が10体というとんでもない数の鬼の大軍が現れた

そんな数が動いたら普通分かると思うが、どこから現れたとかの一切が謎

前回の山本先輩の事件と関連があると見られているけど犯人も分からず迷宮入りとなってしまった

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