『落伍前後』 考察その2
別に、『落伍』したいなんて、思って行動したわけではないのです。
ぼくは、むしろ、くそ真面目と上司から言われるくらいの、真面目人間ですから。
『きみは、かっちかちの、くそ真面目人間だ。』
と、ボスから言われたこともあるくらいです。
しかし、たしかに、一貫性がない面はあったのです。
まあ、優柔不断と言うか、お人よしと言うか。
就職して、半年後には、労組の活動をやってほしいと、上司から頼まれて、就職したばかりの若造が、その支店の分会長なんてのになった。
しかし、根が真面目だから、真面目に組合活動もしたのが、どうやらまずかったらしく、なんだかわからないうちに『落伍者』候補に挙がったと言われました。
『気にするな。普通だから。』とも、付け加えがありました。
新任に、やらせるのが、暗黙のルールなんだと言うのです。
しかし、困ったことに、職場内で三角関係が出来て、あっというまに失恋してしまったのでした。
こうした事態に慣れていなかったこともあり、ぼくは、かなりな衝撃を受けて、事実上崩壊したのであります。
そこで、これで、すでに『落伍者マーク』ふたつとなったのです。
『なんとまあ。はやああ~~~~!』
と、言われながらも、それでも仕事もまじめにやってはいました。
統計作業とか、事後処理とか、毎晩深夜までがんばってはいたのですが、職場が求めるのは、素早い成果であって、こんどは、『能力不足、仕事が遅い』と判断されてしまったらしいのです。
ま、そこで、めでたく『落伍者』マークが3つになり、自宅からは追放され、『落伍者シティA』に収容されました。
当然、職場は解雇でしたが、そこは、社会システムですから、『シティA』の、お菓子工場に自動的に配属されて、日夜、おもちとか、お菓子の製造、配達、スーパーでの販売の業務にあたることになったのです。
もともと事務屋ですから、まったく、未知の分野です。
『シティA』だから、なにがどうだ。というほどの生活上の違いはないのですが、大きな違いは、移動の制限です。
『シティA』から、出ることは、どうにも出来ないのです。
通常社会からは、大きな川や、高い山や、海によって遮断されておりますが、むかし流行ったテレビ・ドラマみたいな感じで、脱出は非常に困難です。
川を渡る橋は、『シティA大橋』だけしかなく、その入口には、特殊な手続きがないと、絶対に到達出来ないようにできていました。
川には、高い塀はあるし、その川のなかには、『人喰い鯉』、と呼ばれる巨大な人工の淡水魚がうようよしていますし、『監視艇』も川面を走りまわり、境界監視ロボットや、空中監視ドロンも配置されていて、まあ、それでも、突破を試みた方も、ないことはないのですが、皆、拘束され、おお方は『消去』されました。
『消去』というのは、文字通り、消去でして、分子破壊ルームで、消し去られます。
痛くも、痒くもないといいます。
いなくなるだけです。
あまり、想像したくはないです。
そうした中で、工場の先輩から、毎日『あんた、荷造りひとつできないのかい!』とか、まあ、叱られ叱られ、それでも、なんとかかんとか、暮らしては、おりました。
『シティA』の場合は、社会生活自体には、通常空間と大きな違いはありません。
通貨も共通です。
テレビ放送なども受信できます。
ただし、ネットの利用は、大きく制限されていて、外部とはつながらないのです。
まあ、やぱり、期末には、『優』か『良』かが、ほしいですしね。
それが、人情というものです。
そんな時、彼らがやってきたのです。
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まだ、続かないかも・・・・・・?
『落伍者の街』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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