『落伍者の街』

やましん(テンパー)

『落伍者の街』 考察その1

  これは、『試験版』です。継続しないかもしれません。


 

 『これは、すべて、フィクションです。この世とは、一切無関係です。』


        🤔   🤔   🤔

     

        


 むかしむかし、ある地球に於いて、『社会安定法』が成立し、施行されました。


 社会全体は、重層的なセクトに分割され、各セクトに於いて、活動が評価されて、各人の順位付けが行われます。


 一人の個人であっても、通常、さまざまなお顔があるわけです。


 また、暮らす地域、国、民族による生活習慣、価値観の違いなども、さまざま、あります。


 これらの多様性は、よく考慮されます。


 お家では、お父さんやお母さんで、会社では係長さんだったり、無役だったり。


 また、町内会の役員さんだったり、市議会議員さんかもしれないです。


 中には、大臣さんもいるでしょうし、社長さんもいる。


 作曲家さん、作家さん、声優さん、役者さん、運動選手・・・・


 プロ・アマも。


 たくさんあります。


 それら、すべてが、まっとうに、評価されるのです。


 たとえば、食料の無駄食いは、マイナス評価につながります。


 いじめをした、と判定されても、通常当然マイナスです。


 ひとつはいじめだが、別では社会貢献があったと判断されると、また全体的な評価は、動く場合もありますし、関係ない事もあります。


 犯罪に当たる場合は、刑法の出番であり、これはまた別に再評価されることになります。つまり、一定の服役や、拘留、社会貢献作業など、から釈放後に、『落伍者』判定をやりなおされます。


 これらは、各セクトに配置される、評価マシーンによって、定められたあらゆる項目から、可能な限りの、客観的評価がなされます。


 言っておきますが、人間の評価は、評価の参考にはされますが、その利用法は、単純ではありません。


 たとえば、A課長さんがB係長さんについて『人好きあいの悪いやなやつ』と、評価したとしましょう。


 しかし、評価コンピュターは、さまざまなデータから判断するので、必ずしも、それが良くない最終評価になるわけでも、ないのです。


 悪い評価をした人の方が、かえって、下にランクされることも、多々あります。


 こうした、各セクトでの評価の中から、『落伍者』が選定されます。


 けれども、『落伍者』選定が、ひとつあったからと言って、そう、気に病むこともありません。


 ひとつくらいは、無い人の方が、はるかに少ない位です。


 評価マシンは、むしろ、ひとつくらいの『落伍者』判定がないような人間には、『注意』マークを付けることもあります。


 いつでもどこでも、全部で良い評価が出るなんて、おかしいと、みるわけです。


 それでも、もちろん、すべてにおいて『最優秀』という評価になる人はあるし、その人は、大方その評価に固定されている場合が多いのですが、この評価順は、一般には非公開なのです。


 それで『落伍者』マークが3っつ以上つくと、第1段階追放となり、『落伍シティA』に、単身移住になります。


 家族生活は、不可となりますが、これは、ある意味、苦手分野の削除でもあります。


 そこで、3年間、社会生活して再評価され、『優』『良』ならば、社会復帰となりますが、『可』だと、現状維持となり、『不可』だと、『落伍シティB』に再移住となります。


 『落伍シティD』が、最下位にあり、そこにまで行くと、『社会復帰』は、ほぼ絶望的となり、そこで『不可』がつくと、現世からは消去されます。


 その先は、『あの世』に任されることになるので、誰も知りません。


 こうした判断は、地球中央コンピューターが、基準作りから、各セクターの端末処理までを、完全統制しています。


 介入できる人間は、皆無です。


 地球大統領も、各国首相も、ボスも、社長も、町内会長も、関与できませんし、かれらも同じ評価の対象者です。


 だから、『落伍シティA』には、昨日までは、かなりな権力者だったなんてかたも、けっこう、いるわけです。


 そこで、大きな問題がありました。


 つまり、『あの世』に任されることになるということは、事実上の解放にあたるのではないか?


 という問題です。


 下がったほうが、絶対的幸福につながるんではないか、という、ある種オカルト的な疑問なのです。


 だから、『あの世』が実在するのかどうかが、大きな問題となったのです。


 これらは、しかし、そもそも、誰が決めたのか?


 そちらは、まったくの、謎のままです。


 こうした社会体制に、異議を唱えるのは、一種のタブーです。


 それでも、地下から異議を唱える一団が、存在しました。


 彼らこそ、『地下の叫び』と呼ばれる、抵抗組織だったのです。




   ****************** 

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