適応進化に関する考察(勘)
氷が爆ぜ、中から荒垣が出て来た。
破片を踏みつぶし、ギリっと目つき鋭くアンナを睨みつける。
「なるほど、伊介天成、キミがその相当駒を重宝する意味がわかったよ……その人形は相当な戦力をもっていると見える」
(氷が氷柱状に変形して襲ってきた?)
『炎熱を操るパイロキネシスの反対、氷冷を操るクリオキネシスといったところだろうッ!』
(そんな超能力が……もっと勉強しておくんだった)
「わっちは元来【念力使い】だよ。つまり操作能力の出だ。近しいエネルギー能力には適応進化しやすい」
「なんの話だ……?」
「む? ああ、そうか君は古い人間だったね。超能力学は日進月歩、特に
荒垣は手をかざし、背後の氷をひきよせ、形を変形させ、日本刀のように美麗な刃を構築してみせる。すでにあたらしく手に入れた力を使いこなしているらしい。
(超能力学の進歩……22世紀の社会において俺の知らない当たり前となっている情報があるのか)
「まあ、情報力で勝っているのならわざわざ話す必要もあるまいて。そうだろう、伊介天成くん」
(おっしゃる通り。ぺらぺら話してくれるかと期待したんだが)
『きっと超能力には個人ごとに得意な能力系統があって、それぞれ操作能力、エネルギー能力、強化能力、変質能力、空間能力、概念能力と分類されているんだッ! たぶんッ!』
(もうすっごい説明してくれるじゃん)
『おそらく【念力使い】は操作能力系の超能力者に分類される! と、同時にエネルギー能力のカテゴリーにも属する! ゆえに最も得意なサイコキネシスほどではないにしても、第二の得意系統であるエネルギー能力に分類されるクリオキネシスに覚醒する可能性が十分にあったッ! そして、やつは環境適応する過程で、極低温化で活動できるようにクリオキネシスに覚醒し、氷を意のままに操作、自身が凍らないようにし、《イルト・ポーラー》を完全に克服したに違いないッ!』
(なるほど。そういうことか)
「お前の手品完全にわかったぞ」
「はは、面白い。天才の強がりほど愉快なものはないね」
「つまり、カクカクシカジカンっとうことだろう」
「……」
荒垣は目をスッと細める。
「君のもっとも厄介なところは、その明晰すぎる頭脳のようだね。一介の科学者として君のその考察能力に敬意を示そう。なるほど、人類初の異世界転移装置の開発者というだけあるね」
(あ、合ってたみたい)
『やはりなッ!』
(超直観くん、ありがとうございました)
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