132皿目 やたら高いめんつゆ

 いかん扉が開いた。


 友人に勧められためんつゆで、1本1リットル入りで1400円もなさる代物である。「甘口のめんつゆが好きなら絶対おすすめ」とのことである。しばらく2の足を踏んでいたのだが、ここで購入のチャンスが巡ってきた。通販サイトのクーポン1000円分が舞い込んできたのである。しかもめんつゆ自体も期間限定値引きで1000円ほどに。

 天が買えと言っている。

 というわけでほかにもほしかったものと一緒に例のめんつゆを購入した。してしまった。


 まずは冷麺のつけつゆにしようと思い、器にあけて水で割った。この時点で自分の感覚を疑うほど鮮烈な出汁の香りがして「こいつは違う」と確信した。つけて食べるとより顕著。今まで使ってきためんつゆは何だったのか。もちろん企業努力があってあの味とお値段を両立させてきたのだろうが、げに恐ろしき高級めんつゆ。

 暖かい麺でももちろんうまいのだが、その場合自分は唐辛子と山椒の粉をいっぱい入れたいので、高いめんつゆだともったいない。温つゆと料理の味付けは今まで通り普通のめんつゆで、冷つゆと天ぷらのつけつゆなどはこのお高いめんつゆを使うことにした。これで麺類生活がより充実する。

 友人に報告したところ「そのめんつゆでないといけない体になった」と言っていたので、そのうち自分もそうなってしまうのだろうか……。

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