第3話
特に何のきっかけもなく、我は目覚めた。
どうやら転生は成功したようだな。
これから、我の世界征服物語が始動するのだ!
ハハハハハハハ!
しかし、『転生の秘術』の指南書通り、今の我の体はまだ赤子のようだ。
すごく動きづらいし、声を出そうにもなかなか思うように声が出ない。耳もうまく聞こえない。
思うように動くのは眼ぐらいだ。
まぁ、眼さえ開けばどうとでもなるのだが。
我には『魔眼』がある。
『遠見の魔眼』があれば半径10キロメートル以内のどこでも見れるし『転移の魔眼』があれば視界に入った場所ならどこへでも移動できるし『看破の魔眼』で相手の情報も見れる。
とりあえずは今生の我のステータスを確認するとするか。
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名前 大星空人(シリウス)
レベル 1
職業 魔王
称号 転生者 異世界人 絶対魔王ぶっ殺す世界の異物
加護 なし
基礎能力値
HP530/530(5300000/5300000)
MP2000/2000(20000000/20000000)
物攻46(460000)
物防43(435000)
魔攻50(500000)
魔防42(420000)
敏捷45(450000)
幸運2
スキル
魔王Lv10(七魔眼、魔王魔法、絶対防御障壁、超再生、魔力支配、魔王覇気etc) 基本属性魔法Lv10 全属性魔法耐性Lv10 物理攻撃耐性Lv10 精神攻撃耐性Lv10 身体強化Lv10 地球人Lv1000(対魔王攻撃力1000倍、魔王攻撃無効、魔王防御無視、対魔王超デバフ、対魔王再生超鈍化etc)
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……。
え?
ん?
ちょっと待って?
これ。
どゆこと?
我のステータスにある筈の無いスキルがある。
離して見てみたり、わざと瞬きしてみたりして何度も何度も見返してみるも、ステータステータスボードからそのスキルが消える気配はない。
つまり、我がラリって幻覚を見ているわけではないという事だ。
『地球人Lv1000』!
何故貴様がそこにいる!
お前の居場所はそこじゃないだろう!
あの異世界勇者の元居た世界の人間の所に居ろよ!
ん?
そこまで考えて我の優れた頭はある恐ろしい可能性に気が付いてしまった。
異世界勇者が持っていた『地球人Lv1000』。
女神の言っていた対魔王世界という世界の存在。
そして、『地球人Lv1000』の文字の衝撃のあまりスルーしていたが、確かにあった称号 異世界人と前世にはなかったレベルという謎のステータスの存在。
そこから導き出される答えは……。
もしかして、我は異世界に転生してしまったのではないか?
我がそんな最悪の可能性に思い至ったその時……
『ピコーン!『女神アリエス』より
突然脳内に無機質な声が響いた。
『女神の私怨』?カーススキル『限定メール』?訳の分からないその声に混乱していると、さらに声が聞こえてきた。
『『女神アリエス』からメールを受信しました開きますか?YES/NO』
メールというものが何かはわからないが、このままじゃ話が分からないままだ。
『YES』と心の中で念じる。
念じた瞬間、ステータスボードの横に、もう一つ画面が出てきた。
そこにはこんなことが書かれていた。
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宛先:哀れな哀れな魔王シリウスへww
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件名:ざまぁ
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やぁやぁシリウス君!
私のサプライズには驚いてくれたかな?
あなたもご存じの通り、あなたが自分に掛けた『転生の秘術』のせいで本当に残念な事に私は私 のかわいい勇者二人を殺してくれちゃったあなたを完全に殺す事が出来なかった!
でも殺せないまでもどうしてもあなたを苦しませたい私は考えた!
どうすればあなたにより苦しんでもらえるかなって!
そして考え付いた!
そうだ!どうせ転生させなきゃいけないならあなたにとって最悪の世界に転生させてあげようって!
よく見たらあなたの『転生の秘術』って転生する世界までは指定されてなかったのよね~。
どうかなその世界は!知ってる?その世界の知的生物はね?みーんなあなたの大っ嫌いなあのスキル『地球人Lv1000』を持ってるんだよ!知らないよね?後で確認してみるといいよ!
あなたがバカで本当に助かりました!ありがとう!
どうぞ私があなたへの嫌がらせのために調整した新しい世界で不幸せに生きてね!
ざまぁ☆
PS
その『限定メール』ってスキル、返信機能あるから、良かったら使ってみてね!いつでも嘲笑ってあげる!
__________________________________
……。
全部読み終わった。
……。
ふっざけんなー!
我の世界征服計画がしょっぱなから台無しじゃねーかコノヤロー!
あぁ!もうこの文章の全てがムカつく!
誰が返信なんてするかよクソが!
あのクソ女神の高笑いしてる姿が目に浮かぶ!
いつか絶対ぶんなぐってやる!
絶対折れてやんないからな!
あー!もう疲れた!
おやすみ!
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