第6話

「小説家になること」


 辛い時代を乗り越えたからこそ本を書いて希望を届けたい。私の本を読んだ誰かが、どこかで笑っていてほしい。そして、私の言葉で明日が明るいと、楽しく生きていてほしい。

 今、私の心の花には様々な色が咲いている。お花の中に色が咲いているのだ。外の世界で沢山の人達に囲まれて、私はこれからも彩られていく。辛かった引きこもり生活を抜け出して、もう七年近くが経った。

 今の生活は当たり前では無く、〝特別〟だ。皆が思っている〝普通〟は普通に見えて普通ではないのだ。ご飯が美味しく食べられて、太陽の光を浴びることができ、誰かと話せる明日がある。それだけで生きていて良かったと思えるのだ。

 会社で怒られようが、失業しようが、もう笑っていられる。何があろうと世界が美しく輝いて見えるのだ。

 私の道には、選べぬほど夢が咲いていたのだ。見えなかっただけで咲いていた。


 人生を諦めて自殺だなんて、どうしてそんなこと考えたのだろうか。

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