第188話難解

「どれも毒など無いようですね」


二人は出される料理の毒味をひと通り終えた。


「こちも問題は無いようです。陛下にはこのままお出しして下さい」


二人は淡々と兵士に報告して、給仕を呼び出した。


やはり仕事と割り切っているようだ…その様子に少し残念に思っていると


「なかなか美味しかったよ」


そっと振り返ってコソッと言うと私にウインクしてくれる。


その顔は先程より顔色がよく見えた。


よかった!少しは料理と言うものを楽しめたのかもしれない!


毒味係の確認も終えていよいよ王族達に料理を提供する事となった。


給仕達が次々に料理を運んで行くのを見守る…さすがに部屋までは入れないので厨房でみんなで待っていた。


味には自信があるけど受け入れて貰えるか…


緊張からかみんな無言になっていた。







ファイ王子は運ばれてくる料理を見てニヤッと口角をあげた。


何度か味見をしたのでその美味しさは知っていた。


あんなに美味くて要望通り魚を使った生の料理だ。


駄目元でミラに相談したのは大当たりだった…チラッと壁際にたっているロードに目をやるとこくっと頷き返してきた。


同じ事を思っていたのだろう。


見た目も華やかで美しく盛り付けられている、ここら辺は王宮に務める料理人たちの手腕だろう。


いい仕事をしている、後で労いの言葉をかけてやらなければ…


そんなことを思いながら肝心の隣国の王を見ると…


コソコソ…


何やら顔を少ししかめながら隣の王妃と言葉を交わしていた。


今回隣国のシン国からは国王のジョウジ・シーバス様、この国では珍しい黒に近い焦げ茶色の髪、黒目の短髪の方だった。


隣の妃の、エミリ・シーバス様は黒髪で真っ直ぐなストレートその瞳も真っ黒だった…肌の色が白いのでその黒が引き立ち少し不気味に見えた…兵士達もその色に少し警戒してしまっている。


そしてお二人の息子のケント・シーバス様年は俺よりも少し下だと聞いていたがそれよりも幼く見えた。


他にも数名の大臣が来ているが皆髪は黒が茶色と言う地味な感じだった。


「この度は遠いところ我が国に来ていただき大変嬉しく思います。硬い話は後にして今は疲れを癒し料理を楽しんで下さい!」


陛下が揃った料理をみて挨拶をすると会食がスタートした。


「さぁシーバス殿ご要望の魚料理です。お口に合えばいいのですが…」


「ありがとうございます。アンダルシア様今回が両国に取って良い関係を築くいいきっかけになる事を願って…」


ジョウジ様がコップを手に取って上にかかげた。そして前に並ばれた料理をじっと見つめて何か思考するように手が止まった。


「何かありましたか?」


父のウィリアムが声をかけると


「では早速頂きましょう…見たところこれは、刺身のようですね。我が国の料理を知っていたのですか?」


このお刺身と言う料理を知っていると言う。


「この刺身とはシン国の料理なのですか!?」


俺は思わず声をあげてしまった。

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