第152話ファイ
その日から王子が屋敷に入り浸るようになった…
パッドさん達がお店がある時は私とカナリア、ミネルバさんで軽くその時に作れる物を作ってあげた。
「ふー…ミラの料理は本当に美味いな…」
今日もしっかりと残らず食べて満足そうに息を吐いた。
「ファイさんうちに来ないでお店に行けばいいじゃないですか?あっちならパッドさんとビオスさんが作ってくれるよ?」
何度も来てるのでもう面倒になり敬語をやめた。
王子もそれでいいって言うからラッキーとばかりに言葉に甘えている。
「あっちも行ってるよ、でもさぁ…あっちに行くとかしこまった感じが食べた気がしないんだよなぁ…ここで好きに食べるのがたまらん一度やったら病みつきになった」
そう言ってデザートに手を伸ばした。
こうしていると普通の男の人に見える、王子をやるのも大変みたいだ。
「おかわりあるよ?」
食べっぷりにそう聞くと顔を輝かせた。
「お、王子様…お茶を…」
するとカナリアが緊張した様子で震えながらお茶を出した。
カタカタとカップがなる様子に王子と思わず顔を合わせる。
「カナリア~もういい加減に慣れたら?ここに来てるのは王子じゃなくてただのファイさんって思えばいいじゃん」
私が何度も来てるのに一向になれないカナリアに声をかけると
「ミラ様みたいに切り替えられません…それに立場が全然違いますから…本来ならここにいることさえ許されません…」
ペコッと頭を下げてそそくさと部屋を出ていった。
「ほらね」
王子は肩をあげて苦笑する。
まぁ確かにあんなのだと食べた気もしないかも…
「ファイさんにはお世話になりましたから…いつでも来てくれていいですよ。でも食材のお金はいただきますからね!」
「ああもちろん。ミラのそういう所が気に入ってるんだよ」
手をグイッと差し出すとドサッとお金の袋を手渡された。
「足も良くなったから近々私もお店に行きますよ?そうしたらファイさんはどうします?」
「そうか…」
王子が残念そうにすると
「そうなったらまたあっちで食べるかなぁ…ミラが接客しくれるかい?」
「うーん…イーサン様がいいって言ったらね」
「わかった」
王子はニヤリと笑った。
王子はミラと別れて屋敷を出ると…
「王子…」
用意されていた馬車へと乗り込む。
「ミラージュに向かってくれ」
ファイはミラージュを目指した。
ミラージュに着くとクロードとイーサンが迎える。
「これは王子、こっちから来たと言うことはまたミラの所へ?」
クロードが苦笑すると…
「ああ、ミラといると自分が王子と言うことを忘れられていいな…癖になりそうだ」
ニヤリと笑う。
「では今日はどうしましたか?もうミラと食べて来たのですよね?」
イーサンが聞くと
「ちょっと話がある、奥に通して貰えるかな?」
二人は頷くと事務所の方に王子を通した。
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