第135話慣れ

ブレンダンと父親のジェイコブ公爵は二人でミラを閉じ込めた離れへと向かった。


鍵を開けて薄暗い部屋に入ると灯りをつける。


「この部屋に閉じ込めてます」


この離れの奥にある部屋は窓が無い、その上薄暗く部屋といいながらも牢屋の様な造りになっていた。

ぬくぬくと育った子供ならあの部屋に閉じ込められたら今頃泣いているか怯えているだろう…


しかもその前にある程度痛めつけている…中であの子供の目がどんな風になっているか楽しみだった。


ブレンダンは口元が緩んでいたのを引き締めると扉を開いた。


するとそこには部屋でゴロンと横になってスヤスヤと眠っている少女がいた。


「えっ…」


思わず声が漏れると


「スースー…」


寝てる?寝息が聞こえる。


「こんなところで寝るだと…」


図太い神経にイラッとする。


「おい!」


ブレンダンが声をあげると…


「うーん…」


目の前の少女が目を覚ました…顔を擦ってその目を開き目の前にいる二人の男を見上げた。


ミラは起こされて目を開けて起き上がる…気持ちよく寝てたのにと少し不機嫌か気持ちで顔を上げた、すると少し高齢の男性と先程のムカつく男が驚いた様子で目を見開いて自分を見ていた…


誰?


見た事ない顔だ…だがさっき私を叩いたこのムカつく男に似ている。


ミラは顔を顰めて二人を見ると


「メアリー…」


その男は私をメアリーと呼んだ。


「私メアリーじゃありませんけど…」


思わず答えると


「声まで…」


男の視線にミラはゾワッとした!


舐め回す様に目をギョロギョロとさせてじっとこっちを見ている。


「確かにメアリーにそっくりだ…だがそれよりも…」


嫌な視線を向けたまま顔をじっと見つめられゴクリと唾を飲み込んでいる。


「どうしましょうか?何も話さないので名前も何もわからないのですが…」


「うーん…」


目の前で自分の事を無視されながら話される…気分が悪い!


「私が少し話を聞いてみよう…お前はもういいぞ。下がっていろ」


「えっ…そ、それなら私も一緒に…」


「聞こえなかったのか?私が一人で話をする_」


父の視線にブレンダンはビクッと肩を揺らした。


「わかりました…ここには誰も来ないように鍵をかけておきます」


「わかれば良い…じっくりと話を聞くからな…そうだな…二時間ほどしたら戻る」


「…はい」


ブレンダンは頭を下げると扉を開けて外に出た。


ガチャリと鍵を閉めるとキッと扉の方を睨みつけた!


「このケダモノが…」


そう呟くとその場を離れた…



※※※※



その頃ミラが行方不明と言う話はジョン達の収容所まで届いていた。


町に行っていた看守が話を聞いて看守長に話をしたのだった…


「今町ではそのミラって言う貴族の娘さんが行方不明らしいんですよ…ミラって…ここにいたミラちゃんの事じゃないですよね?だってミラちゃんは看守長の屋敷のメイドの子だって…」


看守が聞きにくそうに声をかけると…


「ミラさんが…」


看守長が驚き椅子から立ち上がった!


「それは本当ですか!?」


「は、はい…なんか町で流行ってる店の娘だとかでみんなで総出で探しているとか…」


ドサッ…


扉の近くで物が落ちる音がする。


看守長がハッとして扉の方を見るとそこにはジョンが立っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る