収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです

第134話捜索

ファイ王子は数名の王宮騎士を率いてイーサン達の元に戻ってきた。

｢それで？首尾はどうかな？｣

ファイ王子がイーサンに聞くと…

｢どうやらここで男達に連れ去られたそうです…その際に馬車が走り去るのを数名の町民が見ておりました｣

｢どんな紋章かわかる？｣

｢はい…十字に蛇の紋章です｣

イーサンが忌々しげに言い放つ。

｢それって…｣

ファイは今日ミラージュに行く時に乗った馬車を思い出した。

｢ジェイコブ公爵家の紋章です｣

一番会わせたくない相手にミラは出会ってしまったようだった…

◆

ブレンダンは父親の当主に呼び出されると部屋の扉をノックした。

｢ブレンダンです。お呼びですか？｣

｢入れ｣

中から不機嫌そうな父親の声が聞こえる。

ブレンダンが扉を開くと部屋に入るなり父親小言が飛んできた。

｢お前一体何をしたんだ！｣

じろりとブレンダンを睨みつけた。

｢な、何とは…｣

｢先程モリアーティ公爵や他の公爵家の方々から苦情が来ているぞ…お前のせいで店の信用が無くなったとか…｣

｢あっ…｣

すっかりあの娘に気を取られて忘れていた…

｢そうなんです！今日今話題の『ミラージュ』に行ってきましたがあの店はよくありません。今のうちに潰しておくべきです！それなのにモリアーティ公爵をはじめ皆あの店の言いなりなんです。皆、騙さています！｣

｢それがどうした、それだけの力があの店にはあるんだろ…今から行ってどんな手を使ってもいいからもう一度会員になってこい。今あそこの店に行けない事は貴族にとってマイナスでしかない｣

｢しかしあの店はあなたの従者だったイーサンの店なのですよ！そんな奴に頭を下げるなど…｣

｢別に下げなくてもいいだろ。やり方は色々とある…｣

ニヤリと笑った…

｢わかりました…｣

ブレンダンが頷くと…

｢あっ…それともう一つご報告が｣

｢なんだ｣

｢メアリーを覚えていますか？｣

その名前にピクリと反応する。

やはり忘れられない名前なのだろう

｢それがどうした？もうアレは私達と何の関係もない、それにアレは死んだ｣

｢そうですが…あの時あの女お腹に子がいましたよね？｣

｢静かにしろ…誰が聞いてるかもわからんぞ…｣

｢すみません…｣

｢それで？｣

さらに声を落として先を促す。

｢アレの娘がいると言ったらどうしますか？｣

｢はっ？｣

息子の言葉に顔を見つめた。

｢アレにそっくりな子供を見つけました…今捕らえて離の小屋に閉じ込めています｣

｢本当に娘なのか？｣

｢あれ程似ていて他人とは思えません…それにあの瞳がそっくりだ…｣

思い出して忌々しげに吐き捨てる。

｢確認しよう…｣

中々席を立つことない父が動いた…