第131話母の生まれた家

「こっちだ」


てっきり屋敷に入るのかと思ったら屋敷の裏にある離れのような建物に連れていかれた。


入ると思ったより中は広い…そしてなんか懐かしい感じがした。


石で作られ窓はなく冷たい感じがする覚えがある場所。


ああ、収容所に似てるんだ!


ミラはふふ…とこんな状況で笑ってしまった。


「何を笑っている…やはりあの女に似て気味が悪いな…」


ここまで連れてきた男がミラをじっと観察するように見ている。


「それで?こんな所に連れてきて何の用ですか?」


ミラは男に話しかけると


「お前の名はなんと言う?」


こちらの質問に答える気はないようだ、一方的に話しかけてくる。


感じわる!


ミラはそんな奴に誰が名乗るかと口を閉ざして横を向いた。


すると…


パンッ!


衝撃が頬にきた…じわじわと頬が熱くなり痛みが出てきた。


ミラは男に思いっきり頬を叩かれたのだ。


何すんだ!


ミラはキッ!と男を睨みつけた!


「なんだその目は…お前は聞かれたことだけ答えてろ!もう一度聞く…名は何という?」


ミラは意地でも答えるかと口を噤んだ!


そのあとミラは何度も叩かれたが何も答える事はなかった…


そのままミラはその建物に閉じ込められた。



ブレンダンはイライラしながら自分の部屋に戻ってくると側近の男が顔を青くして様子を伺っている。


「なんだ!何か言いたい事があるなら言ってみろ!」


睨みつけると恐る恐る声を出した。


「不味いのではないでしょうか…あの子供、身なりからしても何処かの貴族の娘かと…」


「公爵家に逆らえるものか!それにあの娘は違う」


「違うとは?」


「お前には関係ない!」


忌々しげに吐き捨てた。


あれはきっとあの面汚しのメアリーの子供だ。

さてあの娘…どうしてくれようか、あの目が全くもって気に入らない。


母親にそっくりだった。


メアリーはこの家に突然現れた。父親が突然娘だと連れてきた…どうやら外で作ってきたようで母親やその存在に見て見ぬふり。


そんな母親の態度に俺達もその女を妹とは認めずあたりは強かった。


しかしその女は周りの態度に逆らう事もなく何をされても何も言わなかった。

ただ叩かれても笑っている…


メアリーが16歳になった時…その女の妊娠がわかった…


父親は貴族の娘が結婚前に妊娠などふしだらなとこの事は一族だけの秘密としてメアリーを勘当して家を追い出した。


あてもなくさまよい続けて何処かで何かを盗み働き捕まった聞いた時は一族みんなで安堵した。


しかしそれも父が裏で何かをしたのはわかっている。

あれの父親が誰かとバレる事を恐れたからだ。


だからあのメアリーにそっくりな子供がこの町にいるのは不味い…どうにかして処分しないと…


ブレンダンがどうしようかと算段していると部屋を強くノックされた。


この忙しい時になんだ!


側近に開けさせると父親の従者からの呼び出しだった。


すぐに部屋に来るようにと…


ちょうどいい、この事を父に話さないと…


ブレンダンは父親の部屋へと急いだ。



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