第130話騒然

ミラはスパイスのお店でビオスさん達が喜びそうな物をいくつか見繕っていた…


ふふ…コレとか喜びそう!


色々と手に取ってクンクンとスパイスの香りを確認していると、ふと後ろに気配を感じる。


ちらっと見ると貴族と思われる男性が買い物をしていた。


気のせいかな?


ミラはまたスパイスに集中していると…店がスっと暗くなった…見ると男性がすぐ後ろにたって影が出来ていた。


何この人…


ミラはサッと横にズレると同じようにくっついてくる。


「なんですか?」


明らかに自分にようがありそうだ…ミラージュの店の事はまだ私の事とバレていないはず…まだそれで注目されるわけないのにと警戒する。


店の主人に助けを求めようかと奥を見るが商品が多くて見えない…周りにも人はいなかった…


しまった…


大声を出そうかと身構えると…


「君ってメアリーの知り合いかい?」


唐突にそう言われた…


メアリー…お母さんの事?


ミラはじっとその男を見上げた。


男は口元は笑っているが目元が笑っていない…気持ち悪い…


ミラは何も答えずに顔を顰めた。


やっぱり逃げよう!


ちらっと入口を見ると数人の男がそこを塞いでいた…


「ちょっと話を聞きたいだけだよ、私は君のお母さんの知り合いだから大丈夫。それとも付き添いにいたあの頼りなさそうなメイドに来てもらった方がいいかな?」


「カナリアには手を出さないで!」


ミラが声をあげると


バッ!


男がが口を押さえ込んだ!


「こんなところで大声を出すな…全くこれだから下品な生まれの奴は…」


ブツブツと文句を言っている。


「いいかな?手を離すが声は出すなよ…じゃないとあのメイドさんがどうなるかわからんぞ」


チラッと外にいる男達を見た…


ミラはこくっと頷いた。


「よし、じゃああっちから出ようか?その手に持ってのはそこの棚に置いておけ」


ミラは言われた通りに選んだスパイスを置いた。


「こっちだ」


男が歩いて行く方にゆっくりとついて行った。


裏では馬車が待機されていた…かなり豪華だ。


イーサン様が使っている物より大きくて変にキラキラしてて下品この男のようだ。


ミラは顔をしかめると


「こんな豪華な馬車に乗ったことがないだろう!一生の記念だな、ありがたく乗れ」


ミラはそれにはなんにも答えずに馬車に乗り込んだ。


何処に向かっているのか全然わからない…馬車の窓には目隠しがあり外の様子を伺いしれない。


耳をすませていると賑やかだった街を抜けて静かな場所を走っているようだ。


「着きました」


御者からの声がかかると馬車が止まる。


「降りろ」


言われるがまま降りようとすると御者さんが手を差し出してくれた。


「ありがとうございます」


ニコッと笑って彼にお礼を言ってその手を掴んだ。


降りて前を見ると…大きな屋敷の前にいた。


イーサン様の屋敷の倍はありそうだ!


ミラは思わず口を開けて驚いていた。

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