第108話感謝

「ミ、ミラちゃん!」


ロジー達が驚いていると


「本来は私がしたかった事をやってもらってるんだ…だからこれは私からの気持ちなの」


ミラはすまなそうに笑いかけると


「なんでミラちゃんがそんな顔するんだよ、俺達はやらせてもらってるんだ、決して無理やりなんかじゃないよ」


「そう言ってもらえると嬉しい…でも疲れてるでしょ?だから…」


ミラはニヤリと笑うと後ろを振り返る、するとカナリアが頷いて隣の部屋の扉を開いた。


そこにはパッドさん達屋敷の料理人に協力してもらい様々な料理を用意していた。


「すげぇ…見た事ない料理だ…」


「今度お店開くの知ってますか?」


「ああ、なんでも街中の高級料理店だろ、コロッケも出すってお客さん達が話してた」


「ふふ…いい感じで噂になってるね」


ミラが頷くと


「それがどうかしたのか?」


「これってそこで出す予定の料理なんです」


『ええ!』


ロジー達が料理に駆け寄った!


「すげぇ…俺達なんか絶対に入れない店の料理だぞ」


「一生縁なんてないと思ってた…」


まだ湯気のあがる料理にロジー達の腹がなる。


「よかったら食べて見ませんか?」


ミラがどうぞと手を差し出すと


「俺達が食べていいのか!?」


「別にいらないなら私とカナリアで食べよっか?まぁ二人じゃかなり多いけど…余ったらもったいないなぁ~」


ミラが困った顔をすると…


「大丈夫ですよ~ミラ様!私がちゃんと綺麗に食べきりますから!」


カナリアが嬉しそうに両手にフォークを掴む。


「あ、あああ!食べる!食べさせて下さい」


ロジー達が叫ぶとカナリアに食べられないように慌てて用意されていた皿とフォークを掴んだ!


「なんだこれ!すっげぇ美味い…」


「こっちもいけるぞ!食べてみろよ」


「これがコロッケ?俺達のとは違うなぁ~でも俺はいつものが好きかも」


ロジー達がワイワイ騒ぎながら食事をはじめた。


「あーあ…ミラ様がけしかけるから、私のご飯が~」


カナリアが羨ましそうに美味しそうに食べるロジー達を見つめる。


「カナリアが冗談で煽ってくれたおかげだよ。ありがとう」


ミラがカナリアを見るとキョトンとした顔をしている。


「私が煽った?」


なんの事だと首を傾げると


「ほら、料理全部食べちゃいますって…」


「ああ!あれは本気ですよ~やだなぁミラ様」


カナリアがくすくすと笑うのをミラは唖然と見つめた。



ミラはゆっくり食べてねとロジー達に声をかけて屋敷へと戻った。


帰りに厨房によると…


「パッドさん」


声をかける。


「おおミラどうだった料理の評判は?」


「みんな美味しそうに食べてたよ、でもコロッケは屋台の方が評判良さそうだね」


「それだけみんな自分のコロッケに自信があるんだろ」


パッドさんが笑って答えた。


自分にも覚えがあるようだ…


「いよいよプレオープンも近いな…ミラも店に来るんだよな?」


「うん!でも表には出ないようにするからね」


「ミラがいてくれると俺達も心強いよ、やっぱりここまで考えたのはお前だからな」


「そんな事ないよ、もう料理に関してはパッドさんに任せてるもん」


「まぁ…あれだけ作らされればな…」


パッドは苦笑した。

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