第67話動揺

「ち、違います!」


慌てた様子にお茶をこぼして動揺…これではそうだと言わんばかりだった…


ミラはこぼしたお茶を拭こうとすると


「大丈夫、私がやろう」


ケイジ看守長がササッとふいてくれる。


「ああ、服にまで…火傷は無いかい?」


心配そうに体にかかったお茶まで優しく拭いてくれた。


ミラはコクっと頷く…


「あ、あの…誰も関係無いの…罰なら私が受けます…ここで牢屋に入れって言うんならちゃんと捕まります。だから…ここの人達を裁かないで欲しい…」


ミラはお願いしますと頭を下げた。


ケイジ看守長は苦笑すると泣きそうな顔で頭を下げたミラの頭を撫でる。


「ごめんよ脅かしちゃったかな?ちょっと待ってねもう少しすれば…」


看守長が扉を見つめると…バタバタと走る音が近づいてきた…


ドンドン!


慌てて扉をノックする音にミラはビクッとして看守長の服を掴んだ…


「怖いかい?なら抱っこしてあげよう」


看守長は何故か嬉しそうに私を抱き上げると


「どうぞ」


返事を返す、すると扉が開きそこには焦った顔のジョンさんとローガンさんがいた。


「ミラ!」


「よかった…やっと見つかった…」


二人のほっとする顔にミラは慌てる!


何故ならここは看守長の部屋でまさに看守長が見ているのにローガンさんやジョンさんが私の名前を呼んでしまったからだ。


ど、どうしよう…


二人にもちろん駆け寄りたいがそんな事をすれば関係がある事がバレてしまう…まだこの程度ならさっきちょっと見かけた程度ですむかも…


ミラはサッと顔を逸らし看守長の胸に顔をかくした。


「ミ、ミラ…」


「えっ…」


二人はショックを受ける…


今までミラに声をかけて顔を逸らされた事など一度もなかったからだ。


「やばい…ローガン…俺泣きそう…」


ジョンはあまりの衝撃によろめいた…


「し、しっかりなさい、何かの間違えですよね!ミラ…私ですよ…ローガン」


「知らない!あなた達の事なんて知らない!」


ミラは名前を言わせないように叫んだ!


お願いだからな知らないふりして!


顔を見たら泣いてしまいそうになりギュッと看守長の服を握りしめて耐える。


「ロ、ローガン?大丈夫か?」


ミラに知らないと叫ばれローガンの動きが止まった。


ジョンはローガンの顔を覗き込むとショックのあまり呆然としていた。


あまり見ないローガンの姿にジョンが驚きミラに声をかける。


「ミラ!お前が知らないなんて言うからローガン固まっちまったぞ!」


えっ!


ミラはチラッと顔を向けると…そこには悲しそうな顔で固まるジョンさんとローガンさんがいた…

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