第56話ハンバーグ

食材を確認してみると…


「おっ!肉があるぞ」


看守達が置いていった食材を漁っていた囚人が肉を見つけた!


「それはダメだろ、看守の料理に使えってことだろ?」


ジョンさんが新鮮な食材を触ると


「結局の所、いいように使われるだけなんじゃ無いのか?」


ビオスに聞くと


「それが…それは好きに使って言いそうだ。そこから俺達の飯と看守の飯と作っていいらしい」


「まじかよ!肉なんて何ヶ月ぶりだ!」


「でも言う程は無いな…一人一口ぐらいになっちまいそうだな」


そう聞いてミラは考える。


「あっ!なら昨日ふやかした大豆使ってハンバーグにしよう!それならお肉が少しでも満足できると思う!」


「大豆と肉を使うのか?」


「うん!大豆をすり潰して肉はミンチにして混ぜるの!」


ミラの説明でビオスは頭の中でミラの言うレシピを思い浮かべるが味の想像が出来ないので気になる。


「わかった!早速作ってみようぜ!」


唖然とする囚人達を置いて意気揚々とミラとビオスは厨房へと急いだ!


そんなミラを見送ってジョンはほっとする。


「良かった…元気になって、しかし看守長か…確か新しく変わったと聞いたがどんなやつなんだ?」


近くにいた囚人達に聞くが誰もまだ会ったことが無いという。


「まぁこの感じだと話がわかるやつっぽいが…それでも看守だからな…油断しないようにしないと…」


楽しそうにしているミラを苦笑しながら心配そうに見つめていた。


ジョンさん達をはじめ囚人達が仕事に向かったのでミラ達はまた料理を作り始めた。


「まずは大豆を蒸します!」


ビオスさんに大きな鍋を出してもらい鍋の中にお湯を入れて深い皿を敷くとその上に平たい皿を置いて水で戻した大豆を置く。


「これを蒸したら細かくすり潰してお肉と混ぜて味付けしてフライパンで焼くんだよ」


「でも…これ肉にはならないよな」


ビオスさんが苦笑すると


「お肉より物足りないかもしれないけど…」


ミラがやっぱり駄目かな…としゅんとすると


「わ、わるい!大丈夫だ。とりあえず作ってみようぜ」


ビオスさんは慌ててフォローした。


大豆が蒸しあがり熱いうちにビオスさんがすりこぎで大豆を潰していく。


ミラはその間にゆっくりと玉ねぎを切ってフライパンで炒めた。


玉ねぎと大豆を冷ましてる間にビオスさんが肉を細かく包丁で叩く。


全部の食材を混ぜると塩、胡椒で味付けをする。


「あとは、片栗粉と卵と牛乳を入れたいな…」


牛乳と卵はあるが片栗粉は分からないと言われる。


「片栗粉の代わりに…小麦粉でいっか」


「えっ…そんな適当でいいのか?」


ミラの言葉にビオスさんが眉を顰めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る