第22話五年後
「おい!ミラ大人しくしてろじゃないと看守に見つかるぞ!」
ジョンの怒る声にミラはへらっと笑う。
「大丈夫!そんなヘマしないよ!早く行こうよジョンさん!」
ミラは早く早くとジョンの手を引くと…ジョンは苦笑しながらもミラの思うように手を引かせていた。
しかし、看守から見える位置に来るとミラを抱きかかえて端に寄せた。
「ほら、ここからは駄目だ。早くここに入るんだ」
ジョンがミラ用の移動用カートを取り出す。
「はーい」
ミラが看守に叩かれてからカバンでは危ないと器用な囚人が作った物だった。
看守には洗濯物を集めるのもだと説明してこのカートを引いていれば各棟も回すことができた。
ミラはしょうがなくカートに乗り込むと上から布を被せて板で蓋をして洗い物を乗せると看守の前を通り過ぎる。
「ジョン、洗濯か?これも持っててくれ」
看守がジョンに制服を投げつけるとカゴに放り込む。
「はい…じゃあこのまま他の棟を回ってきますね」
看守は行ってこいと手払うように動かすとまた部屋へと戻って行った。
「ふふ…全然気が付かないね」
ミラのクスクス笑う声が聞こえると…
「こら、もう少し静かにしてろ」
「はーい」
ミラは大人しく声を噤むんだ。
ジョンは第二棟に来るとまっすぐローガンの部屋を目指す。
カートを置いて看守がいないことを確認するとミラをカートから引き上げた。
「こんにちわ!」
ミラはトントンと柵をノックするとローガンさんの返事を待つ。
「どうぞ」
ローガンさんの声を確認すると部屋へと駆け込んだ!
「ローガンさん!」
中に入るとローガンさんにメイソンさんハーパーとノアが待っていた。
「あっ!みんないる~」
嬉しそうに笑うとノアがミラの肩に止まった。
「ノアちゃんこんにちわ」
ミラはふわふわのノアに頬ずりするとノアも喜んでいるようだった…
「ちょっとノア、主人は僕だよ。なんでミラの方にばっかり懐くかなぁ~」
ハーパーが苦笑すると
「でもノアは一番はハーパーだよね」
ミラの言葉にハーパーは満更でもなさそうに笑う。
「それで?今日集まったのはなんでだ?」
ジョンがローガンを見る。
今日はローガンから集まるように言われていた。
「実は食堂の事なんですが…」
ローガンが話しだした。
「ここもミラが来てから清潔に保つようになり、生活水準が上がりましたよね」
「そうだな」
みんなが頷くとミラがなんだと首を傾げる。
「みんな自分の牢屋に泊まらせたいもんだから綺麗に掃除して維持するようになたからな…」
「ええ、それにあたり今度は食事の方も何とかして欲しいと相談が増えていまして…」
「まぁ自分達で用意出来るやつらは看守から貰っているからな…下の者たちにはあそこの料理はキツイかもな」
「そうなんですよ…そのおかげで体力が無いもの達が病気になる率も上がっていまして…看守長に何とかしろと丸投げされまして」
「たっくよぉ!俺たちをなんだと思ってるんだ!囚人だぜ、看守じゃねぇってのによ」
ジョンが愚痴ると…ミラがクイクイとジョンの袖を引っ張った。
「なんだ?」
ジョンがミラを見下ろすと
「ミラも美味しいご飯好き!」
ニコッと可愛い笑顔で笑うと
「これはすぐにでも改善しないといけませんね」
「「「賛成だ」」」
満場一致で決まった。
「しかし…我々でも料理の事となると…誰か何か作れますか?」
ローガンがみんなの顔を見ると
「俺は…ふかし芋なら出来るぞ」
「またそれかよ!」
「僕それ苦手…なんかパサパサしててやなんだよね~」
「私もだ」
ハーパーとメイソンが答えると
「ミラはフライドポテトが好き!」
ミラがパッと思いついたように答えた!
「フライドポテト…とは?聞いたことありますか?」
ローガンがジョン達を見るがみんな首を横に振る。
「ミラ、そのフライドポテトってのは何処で食ったんだ?俺達が食べさせたことないよな?」
ミラはうーんと考える…と
あれ?どこだっけ?
その瞬間ミラの頭の中に真っ赤な看板に黄色いアーチのロゴが浮かんできた!
あー…ハンバーガーも食べたいな…
ミラはそんな事を思うとバタンと倒れ込んだ…
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