離さないし離れない(ヤンデレ感


 さ、寝るか。


 …………え? 風呂? 一体何の話しだ?


 茜に背中を流してもらったり、三人の髪を洗ったり、『はるとの せなか すごくひろいな!』なんて言われてぺたぺた触られたり『はるとー…あたまふいてー』なんてことも無かったぞ。


 無かったんだ、良いね?


 娘さんを下さい? やるわけないだろ寝言は本気の俺を倒して言え。



 茜達と歯磨きタイム。

 歯ブラシどうしようか悩んだけど、三人共お泊まりセットを持ってきてたので何とかなった。 歯磨きは大事、古事記にもそう書かれている……いや知らないけど。


 ……明日もこのままだったらどうしよう、取り敢えずストラバウムに行こうかな……。


 歯磨きも終わり俺の部屋に布団を敷く。


 茜達には俺のベッドを使ってもらい、俺が布団で寝ることにした。


「おやすみ茜、おうか、とーか。」


「「「おやすみー」」」


 三人が小さな声で話しをしてるのを聞きながら、ゆっくりと意識を沈める。


 明日の朝御飯はどうしようかな。


 三人共喜んでくれるかな……。






 ――――うっ…ぐす…ひぐ……


 …何だ? 泣き声?


 夜中に目が覚める、ベッドの方を見ると茜が小さく踞って泣いている。


「茜、大丈夫?」


 二人を起こさないように小さな声で茜に声をかける。


「ぐす…はる…ぢゃん…」


 泣いている茜をできるかぎり優しく抱き締める。


「怖い夢でも見た?」


 腕の中で茜が頷く、どんな夢なんだろうか?


「あの…ね…はるちゃんとね、おうかちゃんがね……うっ…ぐす…」


「落ちついて、ゆっくりでいいから…。」


 左手で茜の小さな背中を擦る。


 しばらく泣いていたが落ち着いたのか、夢の内容を語りはじめた、たどたどしく、小さく、ゆっくりと。




 ――…夢の内容は所々曖昧ではあるものの、間違いなく異世界グレセアでのことだった。 ……ここ最近、茜の様子がおかしかったのって、記憶が戻りかけているから?薬の影響はあるのだろうか…?


 もしそうならとても嬉しい……はずなのに、こんな茜をみてしまうと…。


「はるちゃん…」


 茜が弱々しく俺を呼ぶ。


「うん…どうしたの?」


「はるちゃんは いなくならないよね? 」


「ああ、勿論。」


 茜が不安なら何度でも…


「…ほんとに?」


「居なくならないよ…ずっと一緒にいるって言ったじゃないか。」


「でも…はるちゃんと おうかちゃんが いっしょにいて わたしいなかった…」


 茜を膝の上に乗せ抱き締める。


「居る、ずっと一緒に居るよ、絶対に離れないから。」


 離れないし離さない。


 俺と茜を引き離そうとするなら例え神様だって殺す。


 絶対に。



「はるちゃん…いっしょにねよ…?」


「ああ、一緒寝よう。」


 布団の中に入る。


 茜は眠たかったのか直ぐに寝息をたてはじめた、俺は茜が怖い夢を見ないように手を繋ぐ。


 夢を操る魔法とかあるのかな……ま、あったとしても俺は使えないだろうけど。


 直接的な攻撃魔法や治癒魔法はそこそこ使えるのだが、魔法関連はそもそも茜が殆ど担当してたからな、種類もかなりあったみたいだし。

 桜花はガチ前衛で魔法は……弱い治癒魔法なら使えるらしいけど使ってるのを見たことはない。


「…うー……」


 目を瞑って考えごとをしてると、布団の中におうか達が入ってきた。 ……二人共起きてたな。


 ……もぞもぞ動くんじゃありません、ただでさえめっちゃ狭いのに。



 三人の温もりを感じながら眠りについた。




 ―――――――――


 長いとのご指摘があったのでお風呂シーンはカットしました、別のタイミングで書くかも。



 最近コメント返信が遅くなり申し訳ない。



























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