黄金のおしゃぶり

「我は赤ちゃん皇帝、ケイン一世なり!」

 天高くを指差し俺は宣言した。決まったぁ。


 パチパチパチ


「ケイン様、おしゃべりお上手ですー。」

 ユミル筆頭にメイド達が賞賛してくれた。


 俺は身体強化を使い、普通に喋れるようになったのだ。

 これでいちいち念話でしゃべる手間なく、誰に対しても普通にしゃべる事が可能となった。


 魔術学園都市に拠点として邸宅を借り、メイドやラミア達にはついて来てもらった。

 セバスチャンは帝国で宰相として、グラードはそのボディーガードとして帝国首都でお留守番だ。


「それではケイン様、ハーフェンに会うためどうされます?まずはギルドで情報収集をされるか、あるいは、魔術学園に直接乗り込みますか?」

「そうだなラミア、まずは……………おしゃぶり購入だ!!」

「はあ?」

 魔術学園都市に来た時、ショーウィンドウで良さげなおしゃぶりを発見したのだ。

 あれを買わない手はない!(秘密の理由もあるけど…)



「皇帝に相応しいおしゃぶりを用意してくれたまえ。」

 俺は腕組みをして皇帝らしくダンディに注文する。


「は…はあ、幼く見えますがお坊ちゃんもう喋れるんですね。」

「そうなんです。ケイン様は神童なんですぅー。」

 ユミルを伴い、ショッピングと洒落込んでいる。

 店員は俺の事をなんだこいつは?というような目で見てはいるが…


 ずらーっと何個かおしゃぶりが並べられた。

 うん、どれもなかなかよさそうだ。

 ちゅー

 俺は一個ずつ試着してみる。

 ちゅー、ちゅー、ちゅー


「どれもいいが、いまいち決め手にかけるなあ、うーん……あっそうだ!本物とちゅー比べてしてみたらいいんだ!」

 俺はユミルのおっぱいをチラッと見て、

「という事でユミル、おっぱいいいかな?」


 ばちーーーーん


「いてーー!」

「ケイン様、お戯れがすぎますよ。」

 うゔっ。いいアイデアだと思ったんだけどなあ。これでワンチャンいけるかと(泣)


 と俺が涙を浮かべている時に奥のガラスケースが目に止まった。

「あの奥のガラスケースはなんだ?」

「あれは当店の中でも最高級品でございます。」


 店員がガラスケースの中から持ってきたおしゃぶりは……

 −−黄金のおしゃぶりだった。


「あれも試着できるか?」

「はい、可能でございます。」

 おお、黄金色に輝いているおしゃぶり。

 ちゅーしてみると……うん、ちゅーちゅー具合は他と変わらないな。


 店員が鏡を持ってきた。

 おお、見た目はやはりゴージャスだな。うん、いいねぇ。


「じゃあこれにしよう。」

「ありがとうございます。こちら100万ギルになります。」

「1、100万ギルかあ、や、安いな(震え)。よし買おう(棒読み)。」

「ちょっケイン様、正気ですか?」

 確かにたかだかおしゃぶりで正気を疑うような金額ではあるが…


「いいだろ。皇帝なんだからちょっとぐらいの贅沢。買っちゃうんだもん!」

「もう帰ったらラミア様に言いつけますからね!」

 うゔっ。段々ユミルもお局様みたいになってきている。


 だがこうして俺は黄金のおしゃぶりを手に入れた。

 このおしゃぶりは今後俺のトレードマークになっていく!……はずだ。



「あら、ご主人様、そのおしゃぶり、新しく買ったのですか?」

 早速ラミアが気づく。ふふーーん、似合うだろ。(ドヤ)


「これ、100万ギルもしたんですよ。」(ヒソっ)

 早速ユミルはラミアにちくっている。


「ふーん。」

 ラミアはなんでもないという反応を示している。

 ユミルさんチクる相手を間違ったなあ。

 脳筋暗黒竜に金銭の事を話しても無駄よお。


「まあ、それは置いといて、ギルドに情報収集行ってくるわ。喋れるようになったから俺一人で行ってくる。」

「えっ一人ですか。私もお供しますよ。」

「いやいい。一人でいけるもん。(キョドキョド)」

「うーーん……また何か良からぬ事を考えられてませんか?」

 うゔっさすがラミア、勘が鋭い。だが強行突破だ!


「べ、別に変な事なんか考えてない!じゃあ行ってくる!」

 ピューーー

 走ったら捕まる可能性があったので俺は浮遊術で素早く、邸宅からギルドに向かった。

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