第15話
「何なんだよお前。何がしたいんだよ。人の家、勝手に上がり込んでひっかき回して。いい加減にしろよ。俺はお前のことなんか全く覚えてねえんだよ」
薔子はじっと高遠のことを見下ろしていたかと思うと、
「結婚しようって言ったじゃん」
「……は?」
「昨日、結婚しようって言ったよ」
思わず顔を上げた高遠に、薔子は真顔で言った。
ケッコン、血痕、結婚。
三秒間、思考がフリーズする。
「結婚?結婚って、え?そんなわけねえだろ。だって俺、お前のことなんて知らな」
「言ったもん。何回も何回も。それで」
言葉を切って、薔子は意味深な沈黙を保ったまま、高遠をじっと見つめた。
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