永遠に忘れられない「命の輝き」

出会いの喜び、交流の楽しさ、そして突然の喪失という、人生の濃密な時間が凝縮されています。特に、線香花火という「儚さ」を象徴するモチーフが、短命だった少女の命と重ね合わされ、読後に強い余韻を残す切なくも美しい物語です。

最後のシーンで、由美ちゃんからもらったたった一本の線香花火に火を灯す場面が、物語のクライマックスです。

十年近く経ってもなお、夏の夜空を素直に楽しめない主人公の心情が痛いほど伝わってきました。由美ちゃんからもらった一本の線香花火は、主人公にとって永遠に忘れられない「命の輝き」そのものなのでしょう。

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