禁止・エキストラ・三日坊主

 自分は物語の中だとしてエキストラだとずっと思っていた。それくらいには薄い人生だったはずだ。でも、継ぎ接ぎのように人生に設定が増えていくのに気がついたとき。自分が物語の主要人物であると知った。


 自身の設定が増えいてくのは違和感を覚えながらも自然と受け入れ続けていた。たとえそれが記憶の中での実感がわかなくてもだ。


たすくさん』


 助けを求め続けているその声にも感情が反応する。助けなきゃいけないとそう思えば思うほど暗闇は深くなる気がする。


 現実世界から禁止されたみたいな存在の自分に何ができるのだろうか。できないことだらけなんじゃないか。そう思う。


 思えばいつもなにをしても三日坊主だった。それも物語の設定だったのかもしれないけれど、それでも自身に刻まれたものであることには変わり無い。そんな自分があの世界では毎日のように力を使う練習をし続けていた。コピーした能力を使いこなせるようにそう。特に氷の能力はずっと使い続けていた。


 氷?


『佑さん。助けて』


 姫?


『お願い』


 氷姫ひめ


 その声を。その声の主を。


 確かに思いさ出せたのは、きっと物語と物語の垣根を超えたからだと。そう思えた。

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