クソゲー・不思議な・探険隊

「後悔なんてするかよ」


 永遠とわさんが氷の剣をペガサスの腕に斬りかかる。体の中心は大きすぎて狙いが定まらないからか。それとも広すぎる腕の範囲をかいくぐることができないと判断したからか。


「ふんっ。遅いな」


 ペガサスは永遠さんが狙いすました腕と反対の腕を大きく横に薙いだ。その動きだけで風が巻き起こる。現実ではありえないほど不思議な光景だ。永遠さんは体を縮こませてそれを必死にかわす。


「そんなに動き素早いのかよ。クソゲーかよ」


 そう文句をいいつつも永遠さんはペガサスの薙いだ腕に切り狙いを変えて斬りかかる。


 ペガサスはそれを察知するものの完全に避けることはできなくてきぐるみの毛をいくつか切り裂いた。


「あぶないっ!」


 夏希なつきさんがペガサスの動きにいち早く反応して叫ぶ。ペガサスの足が動いた方と思ったらあっという間に永遠さんのお腹にめり込む。その勢いのまま永遠さんが後方に飛ばされる。


「永遠さんっ!」


 夏希さんが慌てて壁にものすごい勢いでぶつかった永遠さんへ近づく。すぐに手当を始める。その素早い動きは熟練の探険隊のようなものを感じる。


 ペガサスがその間に近づいてくるのを氷姫は懸命に氷を足元に作って動きを阻害しようとするけれどその巨体を止めるのは容易ではない。

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