ドロップキック・タメ口・ペット

「そいつらのことはあとでもいいだろ。先に俺たちに報酬をよこしてくれよ」


 永遠とわさんがライオンさんの一向にこちらを見ない姿勢にイライラしている。タメ口はいつものことだけれど、その言葉の端々に棘が見え隠れしているのがわかる。


「ああ?人探してそいつらのことだろ。ひとりは一緒にいるだろ。もうひとりはこっちだ」


 先に隆司りゅうじを見たあとに弾丸の方を見るライオンさんに違和感を覚える。


「なんでお前はそれを知っているんだ。俺たちが誰を探しているかなんて言ってないだろ。それにややこしいことになってるのになんでそんな知ったような口なんだ」


 弾丸がたすくさんで。でも佑さんじゃないなんてそんなことを話すこともなかったし永遠さんが言った通りなんで知っているのだろうか。


「なんでもかんでも、この場所で起きていることは一通り耳に入ってくるのよ。それこそ全部な」


 全部って……。


「じゃあ、はじめからこいつらが企んでいたのもわかっていたし、いつ実行するのかも知ってたっていうのかよ。なめてるとドロップキックかますぞ」


 そういうことになる。強制送還もできるのならばなんで氷姫ひめたちに頼んだのだろうか。


「あらっぽいねぇ。こっちはこっちで派手に動くわけにはいかないんだよ。それくらいわかるだろう。それに、あんたたちにどうにか出来ないようなら最初から頼んでないよ。実際こうやってとっ捕まえて来てくれたわけだしな。あんたたちも探し人に会えた。お互いWINWINだろ」


 そうだろうか。良いように使われていたようにしか思えない。


「俺たちはあんたのペットになったつもりはないんだけどな」


 ライオンのペットだなんて笑えない。

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