デンジャラス・まさかの・あおり

 そんなデンジャラスな攻撃がかえでさんに秘められていたなんて驚きでしかなかったのだけれど、それ以上にその攻撃の行方の方が予想を上回る結果に楓さんとのイメージのギャップなんてすぐに頭から吹き飛んだ。


 無数の刃物は無数の弾丸によって粉砕されたのだ。ひとつ残らず嫌いさっぱりとだ。


「うそでしょっ?」


 まさかの出来事に楓さんも驚いている。力のほとんどを込めた技だったはずだ。それがいとも簡単に撃ち落とされたのだから無理もない。しかし、銃弾を込めた様子もない拳銃から無限とも思えるくらい放たれている。物語の能力なのだろうけれど、複数人をずっと相手にしている弾丸自身もまったく疲労しているように見えない。


 たすくさん。そのバイタリティは似ている気がします。


 氷姫ひめはそう心の中で佑さんに行き場のない想いをぶつけてみる。当然のように返事はないし、期待していたわけでもない。


「これだけ集まっても俺に触れることもできないのかよ。さっさと、やられちまった方が楽なんじゃないのかよっ!」


 弾丸が明らかにイライラした様子で、拳銃を放ち続ける。そのあおりにもキレがなくなっている。放たれた弾丸、そのひとつひとつを氷の幕でだれにも当たらないようにちょっとずつ軌道をそらす。簡単ではないけれど、やらなくてはならないこと。


 ふと気が付く。一瞬意識を失う前よりも容易になっている気がすることに。この短時間で成長できた?


 もしかして。それは夏希なつきさんの力の影響なのかもしれない。今ならみんなを守り続けられるような気がしてくる。


「氷姫っ!そのまま頼む!」


 動く余裕が出来たのか永遠とわさんが弾丸の後ろに回り込んでいた。

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