忍者・ホイホイ・グルメ

「忍者みたいにちょこまかと動き回りやがるな。人間相手はほんとに戦いにくい」


 ドラゴンは文句を言っている。それだけ永遠とわさんが逃げ回れているのだろう。


 作ってくれている時間を無駄にしてはいけないと氷姫ひめは集中する。


「おっ。そこでこそこそとなにやってるんだ?」


 ドラゴンが軽く炎のブレスを飛ばしてくる。一直線に向かってくる炎を避ける余裕なんてない。


「氷姫ちゃん危ないっ!」


 かえでさんが炎との間に飛び出してきて手に持っているものを一振りした。その風圧により炎が裂けて消し飛ぶ。


「楓さんそれって……」

「そ。私の武器。口裂け女が持っていた包丁がね。いつの間にか呼び出せるようになってたの。追っかけている間にそうなっちゃみたい。包丁なんて持ち歩いてグルメと勘違いされちゃわないかなぁ」


 そんな心配はないと思うのだけれどどこか抜けている楓さんは真剣に悩んでいるみたいだ。


「それ、あいつを倒せるんでしょ?氷姫ちゃんやったっちゃってよ。私が守ってあげるから」


 流石にドラゴン自体が飛びかかってきたら逃げなくてはならない。それをやれば永遠さんが後ろからすきをつくだろうからホイホイと気軽にやってはこないと信じたい。

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