月極・ファーストキス・幕府
「はぁ。死んでも俺を恨むなよ美少年」
侍が刀を抜いた瞬間は見えたけれど戻したのはわからなかった。一瞬でもとの鞘に戻ったそれを
「おっ。それを避けるのか。やるねぇ。ただの美少年じゃないようだ」
変身している永遠さんを男だと見破っているのかそれても天然なだけなのか。のんきなことを考えてしまっているが、永遠さんを見るとそんな余裕はなさそうだ。避けられたのが不思議だと言わんばかりに驚いた顔をしている。
「た、たまたまだよ。次は避けられる気がしねぇ」
永遠さんがこっちに視線を送ってくる。逃げろってことだろうか。
「そう言うなって。幕府とやりあってたころを思い出すよ。こっちの世界にきてから退屈してたんでよぉ」
「はっ。そっちの都合なんて知るかよ」
動こうにもみんな足を震わせている。逃げようにも簡単にはいかない。少しでも動いたら侍がこっちを標的に変えてきそうでもある。
「そうつれないことをいいなさんな。この勝負動画に残して落ちてやるよ。侍と美少年のファーストキッスってか」
「なんだよそれ気持ち悪すぎるだろ。センス悪いなお侍さん」
挑発している余裕があるのか、精一杯強がっているのかわからない。
「おいおいおいおい。この場所は月極って約束だったろうが。支払いもしないのに、なんでまだ居座ってるのかね」
その緊張のなかで聞いたこともない声が地下の秘密基地に響いた。
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