おやつ・コンサート・まぜこぜ

「なんでだ。なんで当たらない!」


 相手が悲鳴のような叫び声を上げる。それもそうで、もう見ているこちらが疲れてしまうくらい立て続けに拳を繰り出しているのだ。当人が叫びたくなるのも当然だと言える。

 そんな中でもだれひとりとして動く気配がないのは不気味だし。そもそも、拳が当たらない永遠とわさんが一番不気味だったりもする。


「なんでっておまえがとろいからに決まってるだろ。こんなんじゃただ単にぶつかってきたそこのお相撲さんのほうが強かったぜ」


 疲労しているところにそんな挑発をされたら頭の中がまぜこぜになってそれこそ、はちゃめちゃな攻撃になってしまうかなと思ったのだけれど。まさにそのとおりだった。


「ふざけんじゃねぇ!」


 もはや拳を前に突き出しているだけで攻撃でもなんでもなくなっている。コンサートの指揮者のほうがまだマシに見えるくらいだ。


「もうそろそろ満足したかい?おやつの時間ももうそろそろだし、やられてくれないか」


 永遠さんがそう言って軽く拳を前に突き出す。それが相手のアゴに当たってラッシュが止まったと思ったら、ぐらりと揺れてそのまま倒れていった。

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