アグレッシブ・バイ菌・ぐらし

「ほー。それは災難だな。別に浮気したわけじゃないんだろ?でも疑われちゃたんだ」

「そうなんっすよ。なんでかわからないっすが、しろくまと浮気していることにされちゃって。なんでもしろくまの家にパンダが生まれたことで、この街で唯一のパンダであるあっししかいないって言う話になってて。でも、あっしは知らないんです。全く見に覚えがなくて」

「おー。それはそれは。ひどい話だねぇ。でもパンダって他にいないなら仕方ないのか」

「違うんです。父親が黒いクマなんっすよ。しろくまとくろくまの子どもがパンダがらになったって不思議じゃないでしょう?」


 屋上ぐらしのパンダと永遠とわさんはなんだか真剣に仲良さそうに話をしていてそこに割って入っていいものか全く検討もつかない。


 永遠さんってあんなにアグレッシブに人と会話する人だったっけ。


「ねえ。あれが氷姫ひめの知り合い?なんか思ってたのと随分と違うねっていうかなんでここにパンダが暮らしてんのよ。バイ菌とか大丈夫なのかしら」


 気にするのはそこなのかなと、女子高生の反応が気になりもする。


「おっ。氷姫。こいつ可哀想なやつなんだよ。聞いてのとおりなんだけどさぁ」


 永遠さんの陽気な声にどうしようもない違和感を覚えて、それがなにかしらの意味があることなんだと思う。

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