主人公・宇宙船・片思い
「あの。ここは関係者意外立入禁止なんだけど。迷子なのかな?」
突然後ろから話しかけられてビクッっとしてその場で跳びはねてしまう。
だから子どもふたりに対しての従業員の反応なのだから当然といえば当然の反応なんだけれど、迷子ではなくて、目的があってここにいる以上後ろめたいものがこみ上げてくる。
「ごめんなさい。弟と歩いていたら道に迷ってしまって。気がついたら知らないところで……」
「そうなんだ。じゃあ、園内まで案内してあげるね。安心して」
優しく微笑みかけてくれる従業員にチクリと心が痛む。しかし問題は巧樹くんだ。これまで頑なにいってんを向かっていった彼がこのまま大人しくついていってくれるとは思わない。
「あ、あの。先にトイレに連れて行ってもらってもいいですか。ずっと我慢していたので」
少しでも奥に進んですきを突いて逃げるしかない。そのための時間が欲しかった。
「なるほどね。わかったよ。じゃあ、行こうか」
そう言って従業員があるき出した方向は巧樹くんが行きたい方向とは逆の方向で案の定、巧樹くんは従業員とは反対側に歩き続ける。まるで片思いしている相手がそちら側にでもいるかのようだ。
「あっ。あの漏れそうなんで急いでもらえますか!?」
巧樹くんから注意をできるだけそらすために慌てる涎技をした。そしたら案の定従業員さんも焦り始めて巧樹くんのことを気にする余裕がなくなったみたいで、駆け足で案内し始めてくれた。
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