電池で動くおもちゃ・仕込み・どんぶり

「なにも着込んじゃいない。電池で動くおもちゃみたいな感触してやがる。もしかしたら身体そのものが金属に変化してるのかも知れない」


 永遠とわの感覚を信じるならば、それは正しい気がしたが木の棒まで金属になっているということは物語による性質変化と言うより、物語の能力としての変化なのだろう。振れたもを金属へ変化しているのだろう。だとしたら、服を着ていない素肌は普通だと思われる。


「服を金属にしてるのかも知れない!そこを狙え」


 男に気づいたことがバレたとしても構わない。それよりも気づいたことを知ってもらっておいたほうが動きが読みやすくなる。


「簡単に言うけどさ。こいつ全身覆ってるぜ。どこに素肌が見えるっていうのだよ」


 自分の能力を十二分にわかっているのだろう。仕込みは十分。全身は布に覆われていて動きやすいようにぴっちりしているし薄い生地ではあるのだが、金属になっているのなら関係ないというこだろう。それは顔も覆っていてマスクのようになっている。


 流石に目の部分は空いているけれどそこを狙うのは難しそうだ。


「いくらどんぶり勘定したところで無理だぞ。この無敵の鎧を打ち破ったものはいない」


 男はこれみよがしに棒を振り回して暴れている。体格差で負けており、受け止めるとただでは済みそうにない。だから、壊されていく黄昏書店を見ていることしかできない。それがくやしくてたまらない。


「こう足場が悪きゃ、思うように動けないぜ」


 素早さが得意な分野である永遠にっとは戦いにくい場所になっている。それはたすくにとっても同じだ。だからと言って外におびき出すまえに奥に進まれたら隆司りゅうじくんと氷姫ひめも危うくなる。


 ここで食い止めながら対策を練るしかないのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る