振り向けば・問答無用・2・5次元
「それで。これからどうするんだい?」
ご飯を食べながら突然、
「ふぁい?」
口にものを頬張ったままだったので、間抜けな音が出てしまう。
「
「佑きたなーい」
振り向けば勉さんは肩をぷるぷると震わせている。怒っているのか、笑っているのか。後者だったらいいのになと希望的観測で物事を考えてみるけれど。もちろんそんなはずはなく。
「隆司。氷姫」
ただ短く名前を呼んだだけだ。しかしその声には妙に迫力が込められていて。その声だけでふたりはびくっと体を縮こませる。
勉さんて静かに怒るタイプなんだ。役に立つ日が来るとは思わないけれど念の為覚えておこうと思った。
「これからってどういうことです?」
「目下の目的がなくなったんだ。することもなく困っているだろう?」
確かに依頼はなく、トラブルもない。というかこれまでトラブルに巻き込まれすぎていた気もするのだから良いじゃないかと思う。たまにはゆっくりしたいという気持ちも強い。
「そうですけど。なにかあるんですか?」
そう聞いてきているってことは勉さんからお願いしたいことがあるのだ。
「ふたりを連れて2、3日でかけてきてくれないか?ちょっと知り合いの公演に招待されているんだけど。他にやらなくてはならないことがあってね。ふたりの面倒も見ながら行ってきて欲しいんだ。
お願いしているような言葉だがその声には問答無用で行ってこいという圧が込められているように感じた。勉さんのお願いを断るわけにも行かず。ここりとうなずいてから。
「公演ってなんのですか?」
「君も2・5次元って聞いたことはあるだろう。それの公演だ」
そう勉さんは楽しげに言い放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます