ギャル・どこもかしこも・編集部
「しっかし。どこもかしこも元通りってやっぱり黄昏時っておかしな状況よね。いったいいつからこんなのが現れだしたのよ」
帰り道。あたりはすっかり暗くなっている。時間通り日が暮れて夜が迎えられることが平和の象徴だと思う日が来るとは考えてもみなかった。
「昔からだよ。今でこそ発生数は多くなったけど、黄昏時は
「へー。そうなんですね。でもマジでショック。こんなに語り部が過酷だと思わなかった。疲れたー」
「しかしなんだったんですか七日間戦争って。よくわからなかったんですけど」
思わず聞いてしまった。初日からいまいち趣旨がピンとこなかったのだ。それは今でも変わらない。
「まあ、概ね目的は達成したみたいだよ。結局は世界に語り部という存在を認めさせることが目的だから」
「えっ。どう言うことです?」
「詳しくは知らないんだけど。こうやって力を一斉に行使すると世界がどうしたって語り部のことを認識する。それが、世界の抑止力を増すことにつながるらしいんだ」
いまいちピンとこない。
「ワクチンってことー?」
一緒に歩いていた
「ああ。そうだねそれに近いかも」
「えっ。私達が力を使うことで世界に抗体を作ってるってことなんです?」
こくりと勉さんがうなずく。
「あれ。そういえば
「ああ。彼なら編集部に帰ったみたいだよ。今回のことを記事に書くみたい」
「えっ。記事って。編集部?どういうことですか」
「彼は語り部専門のライターだよ。界隈では有名ななだけど。やっぱり知らなかったか」
平然な顔して勉さんが言うものだからそれが当然なのかと思ってしまったけれど。なんだか色々とおかしい。
「色々と聞きたいことあったけど。もう疲れた。
そう言って夏希が角を曲がっていく。またねと言われても、もう戦いは終わったのだし会う機会もない気がするのだけれど。そんなことはないのだろうか。
「さ。帰ろっか」
「かえろー!」
勉さんたちが先へ急ぐので佑はそれについていく。ふと後ろを振り返った。
そこには崩れたはずのホテルが元通りになっているのが見えて。佑が開けた穴も元通りになっているのを確認する。
それを見てゾッとするのだ。自分が使っている力は本当はもっと恐ろしいものを由来しているのではないのかと。そう思えてならかった。
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