術・死ぬほど・初恋
「まっ。すぐに終わらせてやるよ。こんなやつあっという間だ」
相手もゆっくり近寄ってくる。すらりと伸びた手足はぶらりと揺れていて不気味だ。スーツ姿のその格好が似合っていないといえばそれまでなのだが、そうでない何かを感じる。
「気をつけろよ。なんか変だ。不気味さを感じる」
「はっ。語り部だったら当たり前だろ。相手の能力もわからない以上、そりゃ不気味だろ」
そう言われればそうなのだが、それでも拭いきれない違和感がある。
「私の頭の中は地獄だと言ったでしょう。いくらあなたが強くても世界ごと地獄になったら意味がない。死ぬほど後悔するといいですよ」
そう男が言った瞬間に世界が変わる。灼熱地獄だとでもいうのか辺が一瞬でマグマによって赤く染まった山ばかりの景色へと変わる。
「おっ。まじでか。空間ごと巻き込むのって随分強いんじゃないのか。なぁ」
なぁ。と言われてもそうなのかとしか思えない。確かに空間ごと物語の力に巻き込んでいるのだから、その力は想像できない。ということは昨日の黄昏時もその力によるものなのか。
「私には地獄しかありませんので」
「しっかし暑いなぁ。もしかして幻術とかなのかとも思ったけど、どうやら本物みたいだな。そうなると長くはいられないな」
「俺の初恋のほうが熱かったな」
おそらく変身しているキャラクターへの恋心の話をしているのだと思った。
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