養殖・ゆとり・先祖代々

「あんたゆとり世代?私のこと知らないなんておかしくない?」


 どこからその自信が来るのかわからないのだけれど、それだけ言うならよっぽどの有名人なのだろう。しかし、この世界に定着していこうそういうことに関心が持てないでいた。元々の設定上の記憶は残っているのだけれど、それはこの世界の事実と異なっていることが多いと言うか、細かいところが決まっておらずふわふわとした感覚なのだ。


「そのへんの養殖アイドルと一緒にしないでよね。私は天然なんだから」


 アイドルに養殖とか天然とかあるんだろうか。まあ本人が言うからにはあるのだろうけれど、だからといってありがたみは感じない。例えそれがどんな姿だったとしてもだ。


「まあ、わかりました。それで手を打ちましょう。半分くらい自分のためなんでそれでいいです。僕は九重佑ここのえたすくです」

「私は若林夏希わかばやしなつきよ。こっちは早川喜美子はやかわきみこ私達は先祖代々アイドルな家系なの」


 彼女は不満そうにしながらも名乗ってくれた。名前で検索すれば色々なことが分かるのだろうけれどやめておく。余計な情報に踊らされたくないし、語り部としての彼女のことはなにひとつとしてわからないだろうか。


 しかし先祖代々アイドルってなにか違って世界が広がっているのだろうか。まったく飲み込めない。あまり深く考えてもしかたがないので気にしないことにして本題に入る。


「で、何をすればいいんです。七日間戦争って」


 結局はそれだつとむさんの説明では結局よくわからなかった。しかし、彼女のこれまでの言動から彼女からも期待できないような気がする。


「夏希のね。語り部としてのレベルを上げてほしいんだよ」


 突然話し始めた、召喚されたアイドルはなんだか落ち着いた様子で話し始めたのだ。

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