第8話 可視光線
旅行を終え1週間が経ち、過去の記憶に関連するようなことは何も起きていない。長谷川は仕事や用事といい、調査をしているようだ。今日は芽衣の実家に遊びに行くことになっている。
両親が旅行で今いないらしいので、泊まりで遊ぶことになっている。彼女が本当に過去の俺の彼女だったのか。なぜそのような嘘をつく理由があるのだろうか。彼女について調べる必要がある。
外に出る。太陽が出ておらず、昼だというのに夕方のように寒い。芽衣の家はシェアハウスの最寄り駅から5駅いったところにあり、そこから徒歩10分程で着いた。集合の20分前に着いた。家の前で待っていても不審者と疑われそうなのでインターホンを鳴らす。
家に入れてもらった。
「ごめん散らかってて、そこら辺に掛けて」
とソファを指さす。しばらくして彼女が温かいお茶を出してくれた。外もかなり冷えていたので、体がかなり温まった。
「今日、すごい寒いね。外寒かったでしょ」
「そうだね。本格的に冬になってきた気がするよ。」
なにげない日常会話を始めた。1時間くらいたっただろうか。
「トイレ借りてもいいかな」
「いいですよ。場所わかりますか?」
「うん、多分大丈夫」
トイレに行く途中、部屋の扉が空いていたので閉めようとした。そのとき部屋の片側一面に写真が貼られているのが分かった。気になったので少し見ることにした。
なんだこれ。全部俺の写真か?机には血の着いたカミソリ。これはどういことなんだ。と困惑していると。
「見ちゃったか」
背後から声をかけられる。
「なんでこんなに俺の写真が」
「好きだからだよ」
「あなたに囲まれてずっとあなたのことを考えてきたの」
「あなたなしではもう生きれない」
「私にとってあなたが全てなの」
「でも最近感じるの。温度差あるなって」
「だから、だから私を好きになってもらうために考えたの」
部屋にあったベットに押し倒された。突然のことで全く反応できなかった。上からかぶさられ動けない。
「一体何をする気だ」
必死に抵抗する。
「もう、抵抗しないで!落ち着いてよ」
腕の拘束を解き突き飛ばす。
「芽衣、お前俺の昔の彼女じゃないだろ」
「え?」
「そう。そうだよ!よく分かったね」
彼女が狂気に満ちた笑顔で言う。
「なんで分かったんだろ。記憶ないのに」
「あはっ!あは、あはははは!」
彼女が笑い始める。
「バレちゃったら仕方ないよね。あなたと一緒に居られないなら、生きてる意味なんてないもん」
「だからさぁ一緒に死のうよ」
「あなたを殺したあと私も死ぬから」
彼女が机にあったカミソリで襲おうとしている。身の危険を感じたので。急いで家から飛び出した。その後警察に通報した。
後日、芽衣は警察に捕まった。
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