第43話 お母様は人間ですよね?
「さてどっちだと思う?」
お母様がニコニコと試すように言う。兄妹達が集まり話し合いを始める。
「お兄様達はどう思います?」
「どちらかというと母上の方が精霊王って感じがしてなぁ」
「確かに、文献でも女性寄りの中性的な存在って書いてありました」
コリンお兄様の言葉に、兄妹は自然とお父様を見る。
「中性的?あんなに男性的な人はいないぞ?」
「そうね、精霊王っていうか魔王って言ってくれれば妙に納得するわ」
「アンジェリーナ、良いこと言うな!その通りだ!魔王なら納得だな!」
「魔王は存在しないでしょうが、絵本や物語の魔王と父上は似ていますね」
「魔王を手懐けるお母様って何者なの?」
「うーん…人間ではないかもな」
子供達の遠慮のない意見に苦笑いのアメリアと撃沈のアービン。
「あの子達、私達を何だと思っているのかしら?」
「俺は…魔王なのか…」落ち込むアービン
落ち込むアービンを励ます口周りがクリームだらけのクロ。
「お前だけだ!俺を心配してくれるのは!でも手がベタベタだな!」
「エヘヘ…」
クロは手についたクリームを舐めている。アンジェリーナは苦笑いしながらクロの手と口を拭いてあげる。
「あんじぇりーにゃ、あいがとー!」
お腹いっぱいになったのか、アンジェリーナの膝の上でうとうとしているクロを、愛おしく撫でる。
「クロはまだまだ甘えたい子供なんだ、アンジェリーナがいてくれて良かったよ」
見つめ合うアンジェリーナとリュークエル。そこに復活したお父様の顔が横から入ってくる。
「おい、家族の前ではやめろよ?特に俺の前ではな!」
「お父様、本当に精霊王なの?」
「アンジェリーナよ!いつになったら信じてくれるんだ!」
アービンの言葉に何とも言えないアンジェリーナ。クロを抱きしめて癒される。
「母上は人間ですよね?」ジェフリーが核心に迫る
ここにいる者全員が固唾を飲む。そしてお母様が優しい微笑みで言う。
「そうよ、私はこの国の普通の公爵令嬢で…」
「「「待って!」」」
「何かしら?」
「お母様、今公爵令嬢って言った?」
「えぇ、今は勘当されたけどね」
唖然とする子供達。
アービンが国の危機を救い爵位を授かって、アメリアは冒険者で二人は出会い恋に落ちたと聞いた。
「お母様は冒険者だったと聞きましたが?」
「あぁ。冒険者をやっていた事は本当よ?公爵家を追い出されて、生きるために魔力が強かった私は冒険者になったのよ」
「何故勘当されたんですか?公爵家ってもしかしてあのルーキンスですか?」
「えぇ。アメリア・ルーキンスが私の昔の名前よ」
そしてお母様は昔の話を聞かせてくれた。
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