第5話 乳離れするおちびさんたち
生後1か月が過ぎると、おちびさんたちの乳離れの季節がやって来ました。
シロもゴロもモモもミイミも、揃ってまだよちよち歩きの頼りなさです。
でも、体型は早くもオオカミの特徴をはっきりとあらわし始めています。
金色にきらめく大きなひとみ。
鋭くとがった上下の4本の牙。
流線型に引き締まった、胴体。
太くてがっしりした4本の脚。
鳴き声も「ミュー」から「クフン」へ、さらに「ウォーン」へと変わって来ると、四六時中、巣穴のなかにいて、かあさんのおっぱいにすがりついてばかりいた赤ん坊たちは、おそるおそるではありますが巣穴の外へ顏を出してみるようになりました。
木の上の小鳥におどろき、きょとんと空を見上げてみたり。🐥
被毛を撫でていくそよ風に、ぶるっと身体をふるわせたり。🍃
甘やかな花蜜の匂いに、一人前の顔でうっとりしてみたり。🌹
雨あがりの地面を引っかき、かぐわしい土の香にむせたり。🐽
いたずらな蝶にからかわれ、ひっくり返りそうになったり。🌅
目の前に降りて来た蜘蛛の糸のブランコに目をまわしたり。🐺
テツたち兄姉弟は、そんなおちびさんたちの遊び相手になってやりながら、かつておじいちゃんから教えこんでもらったオオカミ社会のルールをそれとなく伝えます。
オオカミ社会は、家族のきずなと連帯をたいせつにする。
わがままは許されないが、それぞれの個性は尊重される。
それこそが高等な群れ社会であるオオカミの世界である。
いたずらが過ぎるときは、容赦なく噛んで、やってはいけないことを教えます。
噛まれたおちびさんたちはびっくりして、キャンキャンと悲鳴をあげてかあさんのもとへ逃げかえりますが、その痛さに懲りて、二度と同じことをしなくなるのです。
甘噛みが過ぎたときも、噛みかえしてやり、噛まれたほうの痛さを教えるのです。
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