第170話 仏性その十三 本来の自分を取り戻そう

 「まさにしるべし、悉有中に衆生快便難逢しゅじょうかいびんなんふなり。悉有を会取ういしゅすることかくのごとくなれば、悉有それ透体脱落とうたいとつらくなり。

 まさに知らなければいけない。悉有=衆生(=仏性)なのだから悉有と衆生が出会うということはないのである。悉有をこのように理解するならば、悉有というものは余分なものなど一切抜け落ちた透き通ったようなありのままのものなのである。

 何度も繰り返すけれど、我々を含めたすべての存在はありのままの存在であり仏性そのものなのだ。

 「一切衆生悉有仏性」と言う言葉を聞いて悉有はどこにある、仏性はどこだなどと探し回る必要はない。一切衆生=悉有=仏性なのだから。このことは毎日坐禅していればすとんと腹に落ちる。

 世の中では様々なことが瞬間瞬間起こっている。生きていれば次から次へと色んなことが起こる。人生何でもありだ。

 この時、起こっている事実を頭の中で、脳味噌であーでもないこーでもないといじくりまわしているうちにどんどん変な方向に行ってしまう。自分の利得、見栄、体面、地位などに囚われ憑りつかれて事実を歪めていってしまう。そしてくだらんおかしな行動を取ってしまい、自他ともに傷つけることになる。

 坐禅してありのままの世界を体得しなければいけない。坐禅した瞬間世界は余計なものが抜け落ちありのままの姿を現す。透体脱落である。

 世の中に溢れている言葉、頭の中に渦巻いている言葉を一旦振り捨てよう。そしてありのままの本来の自分、本来の世界を取り戻そう。

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