第4章摩訶般若波羅蜜
第132話 摩訶般若波羅蜜その一 般若心経の解説本に幻滅したこと
魔訶は大・多・勝の意があるそうだ(水野弥穂子氏岩波文庫「正法眼蔵」脚注)。
般若は智慧。波羅蜜は完成するということだと思っている(彼岸に渡る)。
つまり大いなる智慧の完成ということが魔訶般若波羅蜜ということ。
この巻は般若心経の冒頭の文句「観自在菩薩行深般若波羅蜜時照見五蘊皆空」から始まる。
私も正法眼蔵を手に取る前に般若心経の解説本を何冊か手にしたけれど、少しも役に立たなかった。お前に理解力がないんじゃと言われればそれまでだが、書いてあることが抽象的、観念的で現実に役に立たないものとしか思えなかった。
特に
この世の中のものは、「自分があると思っているだけで本当は空(存在しない)なのだ」というようなことを言っている本もあって、全く理解できなかった。
机というものも、木とかスチールとかの集まりであって「机である」と自分が思っているだけだ、などといわれても、だから何なんだとしか思えない。
当時の私は現実に時々刻々追い詰められていた。この追い詰めている現実も「実は空なんです」とか言って何が解決するんだ?馬鹿じゃないかと思っていた。今もそう思っている。
現実に生きるか死ぬかというようなところまで追い込まれたことのない人間が文字の上だけで経典を扱うとこういう現実には何の役にも立たない、抽象的、観念的なものとなってしまう。
仏教はそういうものではない。この現実を如何に真実・真理に従って生きていくかを説き、教えるものだ。
次回以降、本文に沿って書いていきたい。
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