前のエピソード――第107話　現成公安その六　教祖などというのはインチキである

　「身心を挙して色を見取し、身心を挙して声を聴取するに、したしく会取すれども、かがみに影をやどすがごとくにあらず、水と月とのごとくにあらず。一方を証するときは一方はくらし。」

　（坐禅をして大宇宙の真実・真理を実現・実証した状態は）身心全体で様々なものを見、身心全体で音を聞き取っている状態となるのであるけれど、それは鏡に影が映るというようなことではない。水に月が映るというようなことではない。水と月のように映すもの（水）と映るもの（月）というように二つに分けてしまうと、一方を取り上げるたときもう一方は見えない状態となってしまう。

　坐禅して大宇宙の真実・真理を実現・実証、大宇宙の真実・真理と一体となった時、大宇宙に満ちている音を素直に身心全体で感じることができ、森羅万象をありのままに身心全体で受け入れることができる。

　人間は二極論が好きだ。そして得てして自分は正しく、相手は間違っていると言いがちだ。

　ロシアはウクライナは悪だと言い、ウクライナはロシアを悪だという。アメリカではトランプと反トランプでいがみ合っている。

　しかし真実・真理は二つに分けられるものではない。大宇宙の真実・真理は絶対的なものだ。人間の脳味噌でああだこうだいじくり回すことなど不可能だ。頭の中の考えに固執し自と他を区分すている限り真実・真理に到達することは絶対にできない。不可能だ。

　坐禅して全身心で大宇宙を体得しなければならない。