一劫にて愛を誓え

雷之電

いきなり読めるように、前提知識

世界観


 現代からちょっと先。日本という国家は消え、各々がバラバラに暮らしたり、かつての同業者で寄り集まって技術を絶やさぬよう尽力したり、様々な暮らし方が存在する。



人物


越生 久(22)♂ 人間

おごせ ひさし

 電子機器のリペアが生業。主人公格にしては無味乾燥。

 姉以外の親類はみな消えていて、一人ででかい民家を持て余していた。

 姉は倒壊寸前の団地で一人霞を食って生きていて、互いに都合よく頼る。

 最低限のお節介の他に何もしないので零花に気に入られている。


飛驒 零花(13)♀ 半吸血鬼

ひだ れいか

 父が吸血鬼、母が人間。吸血鬼に襲われた人間が気まぐれで殺されなかったため産まれた。

 そのせいで母からもかなり疎まれていて、ある日帰ったら家がもぬけの殻になっていた。

 弱小な横の繋がりでなんとか生きてこられたが、あることをきっかけにとうとう人脈も失う。

 耐えきれず初めて襲ったのが久で、お節介から彼の家で暮らすことになった。



吸血鬼


・人間と同じ食事に加え人間の血が必要

・人間より力が強い

・四肢の欠損程度ならものの10秒で再生できる

・浴びている紫外線の量と上記能力の強さは反比例する

・失血と飢えによっても弱体化する

・その他に吸血鬼の弱点といわれるものは効かない

・目が合った者は傷つける意志を削がれる(作中で魅了と呼ぶ)

・感情の高ぶりから自分と周りの者を一つの夢の中に引きずり込むことがある



HISO


Humanoid Independence Support Organization

 ヒューマノイド独立支援機構

吸血鬼の他に人型の超常的存在がいる。人間社会での彼らの生活を支える ため作られた……とされる。

 実際は吸血鬼が自身の種族の生い立ちを解き明かすために他ヒューマノイドについての研究を行っている超独善的な組織。吸血鬼には優しい。他者との扶養関係があればここから血液を支給される。その血液は大変まずく不評。



前作ざっくりざっくざく


零花は母親に逃げられたあと他人の家に身を置いていたが略奪者に誘拐される。血と性倒錯に揉まれるうち、「魅了」に冒された略奪者が加害と自責の葛藤から自殺した。

たまたま襲った久に拾われ事情を説明したところで、夢が街一つ飲み込んでしまう。

大脳辺縁系的な世界観を持つ夢の中で、トラウマにより塞ぎ込んでしまった零花を久はなんとか救おうともがくが、すべて徒労に終わる。そして深層心理を具象化したこの世界で一つ悟った。

それは加害もお節介もすべて、他人を無視した独善であり、零花が無意識に望んだものは不干渉であるということ。

同時に零花は、内省と追体験を重ねトラウマを打ち破った。

夢を形成するに至ったトラウマが消えたことでその夢は分解され、現実が戻る。

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