第20話
俺は上向きで寝るカンザキの上に寝そべる心地良さに蕩けていた。
カンザキが頭を撫でたりしてくれるのがよくない。
でももっと良くないのが、お互いの性器を擦り合わせるのが、すごくイケない。
全身でカンザキを感じて気持ち良くなれて、気持ち良く出来る。
「はぁ…ぁぁ…かんざきぃ…きもち?きもちぃ?」
必死に擦り付ける。
だってそしたらカンザキが、気持ちよさそうに顔を歪ませ、熱い吐息交じりに「ああ、古壱…いいよ…」って言ってくれるんだんだもん。
嬉しいじゃん。
好きなひと気持ち良くすんの。
一緒に気持ちいいの。
俺の尻ふわふわ揉みながらカンザキも腰が動いて、きもちいい。
「ふるいち」
「ぁ…んっ…んぅ…」
カンザキがむちゅうってキスしてくれた。
動きが止まってしまう。
どっちもはまだできない。
慣れてないから無理で、上顎舌でさりさりされるの好きすぎて動けない。
「ぁ…やらぁ…もっとしてぇ…」
急に唇が離れ、俺は不満で追い掛けた。
だって両手が身体から、尻から離れるんだもん。
でもカンザキは頭の方に置いたランプへ顔を向けていた。
すてきな喉仏と首筋に自然とキスしてしまう。
カンザキが首をちゅうちゅうする俺の頭を撫で、もう片方を伸ばし何かを掴んで俺に見せる。
それは小さな小瓶だった。
「…それ…なに…?」
カンザキのおっぱい揉みながら問うと、目の前で瓶の蓋を開けられる。
なんだか甘い匂いがした。
「古壱なら知っているだろ?淫魔のドロップアイテムを」
言われて思い出す。
結構高値で買い取ってもらえるから、淫魔系モンスターは率先して討伐してた。
淫魔系は全部同じ物をドロップするのだ。
淫魔の涙、という物だ。
市販の目薬と同じ位のサイズで、形はスベードに似てる小瓶。
中身はとってもエッチな感じのピンクの液体ちゃぷちゃぷ。
目の前の小瓶みたいな…。
え、まさかぁ。
俺は一応、魔眼で鑑定した。
『淫魔の涙・対象者への媚薬効果を使用者が自由に操作することが可能』
…本物でした。
いや、初心者だから痛くしないように、っていう配慮なんだろうけど。
「…て、てごころ…くわえて、ね?」
「なるべく、心掛ける」
「…は、はじめてなんだ、まじで…だから…」
「大丈夫だ…こわいことなんて、なにひとつ、しない」
そう言ってカンザキは俺の口に小瓶を添えた。
あ、飲むもんだったんだ。
知らんかったなぁ。
「古壱」
「んっ…んっく…んっく…」
そんな優しい声で呼ばれたら飲むしかない。
ちょっとこわかったけどカンザキを信じ、俺は淫魔の涙を飲み干した。
甘く、濃い、シロップのようだった。
酒、のようだけど何か違う。
触れた内臓が瞬く間に熱を孕んだ。
頭がぼーっとする。
「ぁ…ああ…」
「古壱…大丈夫だ」
カンザキが俺を優しく抱き締める。
俺の方が熱くなってきてるのがわかる。
俺、溶けちゃうのかな?
そしたらぜひともすすってのんでくれ。
「溶けたりはしない、安心しろ」
こめかみにチューってキスされる。
あ、原形あった。
カンザキがあちこちキスしながら、またも何か手繰り寄せている。
身体が思うように動かなくて、べちょって気分でカンザキに身を預ける。
なんか、チューブだ。
なんだろ、透明な歯磨き粉か?
そんなに指に出して、どっか痛いのか?
その作業を黙って見守ってると、透明な歯磨き粉がついた指をカンザキがブランケットの中に入れた。
あれ、カンザキ怪我したのか?
カンザキ大丈夫か?って聞こうとしたら尻を撫でられる。
「あ、え?ぁっ!!」
撫でた手がぐいって尻たぶを掴み谷が露わに、そこにカンザキの指が滑り込んできて、そのまま穴に。
入り口をゆっくり撫でまわしてから、ずぷずぷ、はいってくる。
「ゆ、びぃ…?」
「ああ、俺の指だ」
それは分かる。
分かるけど、指の根元まで、はいったのも分かるけど。
「はぁ…あァ…アぁ…」
いたくない。
いわかんがない。
それに、とまどう。
おかしい。
おかしいって。
「かん、ざきぃぃっ」
こわくてカンザキに縋りつく。
カンザキは俺を受け入れて、頭を撫でてくれた。
それも、だめだった。
「だめっ、コれ、だめっ、ぃッ」
カンザキの指が遠慮なく俺の穴の中を擦る。
ネチャネチャ聞こえるのは、透明な歯磨き粉の所為だ。
行き来する指をキュウって締め付けてしまう。
そんなことで指は止まらない。
むしろ増えて広がってく。
俺の身体は何故か俺のいうことを聞いてくれないので、腰が勝手にヒクヒクする。
恥ずかしい。
声も出ない。
口を開けたまま、なにも言えない。
だってこんな、ああ。
「古壱…痛いのか?」
カンザキの労わる声が低く腹の底に響く。
涎が垂れた。
俺は必死になって首を横に振った。
「ぁい、ぁっヒ、きもちぃからァ、かげんしてッンッ」
きもちいいのだ。
しょんべん垂れ流しな感じしてきもちいい。
指が穴に挿った瞬間からずっと気持ち良い。
快感がすごい。
強い。
きっとカンザキが俺が辛くないように俺の感度をガバガバの甘々にしてるのだろう。
淫魔の涙恐るべし。
もう何本はいってるのかわかんない。
ふやけてきもちいいだけ。
ふいに、カンザキがにちゃあって穴から指を抜く。
涙と共に変な声が溢れ出た。
気持ち良いのが腹の奥に残ってて燻ってて、物足りなさでカンザキに擦り寄ってしまう。
「古壱…いいか?」
少しだけカンザキの言葉をしゃっきりした気分で聴けた。
あ、少しだけ媚薬の効果緩めてくれたのか。
ちゃんと加減してくれたのか。
そのことが嬉しくって深く考えず頷いてしまった。
そしたらカンザキは俺をひっくり返し、背後から横抱きしてくる。
「あ」
ビクっとしてしまった。
カンザキはとまらなかった。
カンザキの指と透明な歯磨き粉の所為でヌルヌルの穴に、ナニカが挿ってくる。
物足りなさを優しく摺り潰しながら腹の奥、一杯。
「あ、ぁ、あ…」
それはあつかった。
それはかたかった。
それはきもちよかった。
ふうふう、けだものの吐息が耳に吹きかかる。
カンザキの息が乱れてる。
腰を掴んで俺を抱き締めて、俺に、俺の中に。
ああ、と息とも声ともつかぬ低い音。
背中に胸板が。
いっこだ。
独りじゃない。
一個だ。
おれ、かんざきと、いっこになってる。
「カン、ざきィ…はいってる…の?」
胸と腰に在る手に手を重ねる。
「ああ…そう、だ」
頬にキスしてくれたから、俺は口にしてって顔を向けた。
そしたらカンザキは、啄むように何度もキスしてくれた。
「ン…チュ…ちゅう…ンっ」
ちゅうって吸う度身体が揺れるから、ひっついて剥がれる。
その内優しく揺すられ、甘えたな喘ぎ声がもれてしまう。
俺のことを気遣いつつも、カンザキも愉しんでるのが息遣いで伝わってくる。
ぎゅうって抱き締めてゆっくり、ゆっくり、揺すられる。
「ァっんぅ、かんざきぃぃ」
「…強いか…?」
カンザキが動きを止めてしまった。
ああ、気遣われてしまった。
涙が滲む。
絶対辛いのに、優しい、嬉しい。
荒ぶる息も押し殺し、俺をぎゅうっと抱き締める。
カンザキは、もう、それ以上動かない。。
男前なのにさらに男前なカンザキへ、ふと疑問が生じた。
「な、カンザキ…」
「…なんだ…」
あっつ。
声低っく。
腰がマジで砕けた。
色っぽい声だけでイきそうになった俺は、誤魔化すように言葉を続けた。
「んぅ…ぅ…カンザキは…いつ俺が好きになったの?」
カンザキが俺を好きなのはもう疑わない。
でも、いつ好きになったのか。
それが気になった。
「…古壱が姿を消した時、好きだと自覚した。ずっと好きだったことを…次に会ったらもう何処にもやらないと、思う程に」
「…あぅ…」
熱い。
低い。
腹の奥を占領されているのに、ますます犯されてしまう。
カンザキを抱き締めてる部分が、好き勝手に甘えべたつく。
止められない。
コッチも嬉しすぎて甘えてしまう。
手を取ってちゅうちゅうキスする。
ふふってカンザキが笑う。
口の中に指が入ってきて、湿った内側を指の腹で弄ばれる。
こうやって動きたいってのを無意識にサレてるんだって分かったら、好きにして欲しすぎて息を荒げた。
くすぐったい、けど、好きにされるの気持ち良い。
混乱の極みから終わりばかりを望む俺を、好きだから支えてくれた。
好きで居続けてくれた。
見捨てないでくれた。
独りにしなかった。
俺はもう、独りじゃない。
好き。
大好き。
夢中で口の中を弄る指に甘え吸い付く。
だんだんきもちよくって頭ぼおっとしてきた。
「古壱…」
「ァ…かんひゃきぃ…やめちゃうの…?」
俺の名前を呼びながら、カンザキが指を抜いてしまう。
名残惜しいことばっかしてくる。
不満が顔に出てたらしい。
カンザキは優しくキスしてくれた。
これも離れてほしくないやつ。
でも離れてく。
不服だ。
繋がってる唯一は、このまま癒着を希望する。
「…古壱は…?」
「ぇ…ぁぁんっ…」
カンザキが俺をぎゅうって抱き締める。
あ、ぐって、した。
ぐぐって、奥、はいった。
ハっハって、息を切らしてしまう。
「古壱は、いつから俺を…?」
「あ、え…」
ゾクゾクってした。
目の前が真っ白になった。
耳が溶けた。
「耳は溶けてない…古壱、教えてくれ」
「あふゃァ…」
顎を持ち上げられ、じっと見つめられる。
かああああって熱くなった。
「おれは…」
「俺は…?」
あ、やさしい。
目付きと同じくらい声、やさしい。
唇が震えた。
「おれは、ないしょ、です…」
カンザキがにこって微笑んだ。
ますますゾクってした。
「それはフェアじゃない」
「あ」
口調もすごくやさしかった。
なのに、どぐじゅって、された。
声が詰まった。
首の後ろになにかはいってそれがきもちいい、そういう錯覚に涎が垂れた。
カンザキは、俺のナカをずん、ずん、突く。
「ヒぃっ!ヤっァっ!でごころぉおっ」
目を瞑り懇願する。
なのにカンザキが奥突いて抜いて奥ぐりぐり突く。
突かれる度に意識がいちいちぶっ飛ぶ。
ずっとすごい快感に、溶ける。
「こん、なのは、優しい、ほうだ」
ああ、骨溶ける。
境界が溶けてく。
溶けてない、ってカンザキが強く突く。
言え、って脅迫めいたやつだった。
俺は自然と滲んだ涙を座席に擦り付ける。
「ひぅぅ…いうからぁ…いうからぁ…」
ぐりぐり座席に顔を擦り付けてたら、カンザキがそれは駄目だと目元にキスをしてくれた。
優しいけど促されてる。
動きは止めてくれたけど、ぎゅうってする力が強い。
俺は鼻をすんって啜った。
「あ、あった、とき…」
ああ、はずかしい。
もう、めっちゃいろんなトコ熱いのに、背中が燃えるように熱い。
「うう…ひとめぼれぇ…」
一目惚れしていた。
あの瞬間。
目が合った瞬間。
俺は恋に落ちていた。
人となりを知ってますます好きになった。
そして、俺のことなんて好きになってくれないって、理解した。
だから独りを選び直した。
俺が好きで在ることは、迷惑じゃないから。
カンザキが俺をますます強く抱き締めてくれた。
何処にも行かないようにするように。
何処にも行くわけないじゃん。
カンザキが俺のものになったのに。
「そう、だったのか…ずっと想ってくれていたのか」
喜色がいっぱい声色に詰まってた。
嬉しそうで嬉しい。
好き遍歴が俺の方が長いのが、悔しいじゃなくて嬉しいってとこが嬉しい。
「それではなおのこと」
カンザキが、囁く。
「お前の想いに応えたい」
一瞬気が遠くなった。
イったっぽい。
まがん、とれそう。
「古壱、愛してる」
俺は何かを言った気がする。
もうわかんない。
ちからははいらない。
ふにゃふにゃしたもの。
えへへスライム?
カンザキが胸の先をたぶんこねた。
なんか覚醒した。
「ひんっ!ちゅおいっつおいっよぉ!」
ぐんぐん、激しい抽挿に手心を求めた。
だけど、カンザキは、ぜんぜん、ドチュドチュ。
駄目だ
俺は
楔を
刻み込みたい
お前のナカに
俺を
打ち込んで
焼き付けて
もう何処へも
その囁きは呪文のようだった。
脳髄に刻まれた。
だから呪いかも。
良い、呪い。
素敵な、呪い。
だから、もう、やけちゃう、とけちゃう、きざみこまれちゃう。
マグマのような熱いものを腹の中にねじ込まれ。
愛情の塊がいっぱい。
きもちよくって、いしきがうしなわれてった。
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