99日目

朝、猫が目を覚ますと見慣れた小屋は姿を消し、大きく立派な家がそこに立っていた。

思わず飛び上がった猫に、生き物はやり遂げた達成感を浮かべた顔で近づき、手を伸ばす。

その手の毛はぐちゃぐちゃに絡まっており、よく見ると全身毛玉ができていた。

随分と張り切って頑張ってしまったらしい。

猫はまだ眠っているドラゴンと天使を叩き起こし、木造の玄関ポーチを上った。

まだ眠そうなドラゴンは、家の横に併設させた屋根付きの小屋の中に納まって丸くなり、寝息を立て始める。

天使はずいぶんと嬉しいのか小躍りしながら家の中を探索し、キッチンの広さに感激していた。

猫はというと一部屋一部屋緻密に確認し、満足したらしく生き物の肩に乗ってその顔をグルーミングした。


今日からみんなで家族だ。

一緒に暮らそうと伝えると、天使は「勿論だよ」と笑って生き物を抱きしめた。

外ではドラゴンが唸っている。


初日から思い思いな仲間たちを嬉しく思いながら、生き物はまた鼻の下を擦った。

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